※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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〜バンデクス島〜
三姉妹の乗ったエスコーダ商会の定期船は、
順調に航海をし、無事に島の港に到着した。
船に乗せてもらったお礼を、船長に言ったのち
荷物をまとめ意気揚々と下船をし、アスカとマイカが
キョロキョロと誰かを探すように見渡すと、忙しく歩き回る
人混みの中で白色のローブに身を包んだ魔法使い風の人物を
発見した。三姉妹の養母”マーテ”だった。
「おかえりなさ〜い♪3人とも」
柔らかな笑みを浮かべ手を振りながら、緩くフワッとした
声音で3人を出迎えに来ていた。
「「お母養さん!」」
二人は、マーテの声を聞くと駆け足で向かい再会を喜ぶように
抱きつく。
「もう〜帰って来るって書いてあったのに昨日の定期船に
乗ってないから心配したのよ〜?」
マーテがそう言うと、今度は後から来たリルカがマーテも
巻き込んで、3人同時に抱き上げて来る。
「アスカがちょっと寄り道に夢中になっちゃって遅れたんだ〜
ただいまお母養さん〜!」
「「ただいま!」」
「あらあら、そういう事なら仕方ないわね〜」
嬉しそうな会話や楽しそうな雰囲気を近くで見聞きしていた
商会の船の船員やこれから漁へと向かう漁師たちも同じように
笑みを浮かべ、島主の娘たちが帰郷した事を心から喜び合った。
「リルカちゃ〜ん、そろそろ下ろしくてくれないと
どこにも行けないよ〜」
「あっ…!ごめんなさい…。」
抱き上げられていた三人は降ろされ、アスカたちは
自分たちの荷物をしっかり整え、移動の準備を終えると
「そうそう、実はね…あなた達が島に帰ってくる事を
島民の皆さんにも話したら、みんなで島の広場に集まって
パーティーをする事になったの♪」
「えっ!…それっていつ?」
アスカが目を丸くして言うと、”明後日よ”とマーテが
笑みを浮かべ言う。三人は帰って来て早々にパーティーが開かれる事に
対して大喜びする。
すると、4人の元へお婆さんウェディがやってきた。
「奥様、お嬢様がた…こちらにいらっしゃいましたか。なかなか
帰ってこられないので心配しましたよ」
「あら…ごめんなさい。そういえば、メイドの皆様に子ども達の
部屋の掃除とベットの準備をお願いしていたのを忘れていました。」
「もう既に、掃除とベットのメイキングは終わっております。
いつでも快適におやすみになる事が可能です。…明後日のパーティーに
備えて、早くお屋敷に帰ってお休みになられた方がよろしいと思いますよ。」
「それじゃあ、早く帰らなきゃだね♪」
☆
バンデクス島の港を抜け、小さな丘を登ると
アスカたちが、幼い頃に育った懐かしき場所で、
現在は島の重要な拠点でもある2階建て大きな屋敷へと
到着した。中へと入ると
「おかえりなさいませ!お嬢様がた!」
ずっと待っていたのかメイド達が帰ってきた3人を
元気な挨拶で出迎えてくれた。アスカとマイカは
それに同じように元気に返事をした後に、
エントランスから階段を登り、自分の部屋へと
荷物を置きに向かっていった。
「もう二人とも、子どもみたいに騒がないの〜」
「仕方ないよ〜普段、軍じゃ二人は立場的にかなり
きっちりしてるからハメを外したいんだよ」
リルカは、迎えてくれたメイドの一人に、自分の荷物の事を
お願いし手渡した後に、同じように階段を登る。しかし二人とは
違う方に向かう。
「どこへ行くの〜?あなたの部屋は、そっちじゃないでしょ?」
「ちょっと養父さんの戦技書を見たいんだけど…お養母さん部屋、大丈夫?」
「大切な書類が机にいっぱいあるから、それに触らなかったら大丈夫よ〜。」
許可がもらえると、リルカは島の業務を担う執務室にもなっている
養父パテルの部屋へと向かっていった。マーテは、出迎えをしてくれた
メイド達にそれぞれ今日してほしい事を伝えていると
「お養母さんー!」
アスカが元気よく下へと降りてきた。
「なぁに?…もしかして何か足りてないものあった〜?」
「ううん、ちょっとこれからまた出かけようかな?って思って
そのついでになるけど、買ってきてほしいものとかある?」
「うーん、大丈夫。今日の買い物はもう終わってるから、気にせずに
出かけてらっしゃい。」
そうマーテに言われたアスカは、そのまま嬉しそうに外へと出掛けて
言った。
「もう元気いっぱいなんだから〜」
アスカを柔らかな笑顔で手を振って見送り、
マーテは「さて」と呟いた時に2階の方から
突然”ガシャン!!”と言う大きな音が屋敷全体に響いた。
ー続くー