※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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突如、屋敷内に”ガシャン!”と大きな音が響いた。
「なんだっ!?」
と、パテルの部屋へ向かおうとしていたリルカは
驚き、音がしたマイカの部屋へ急いで向かっていた。
部屋の前まで行くと、そこには他のメイド達が既に
居り、遅れてマーテも駆けつけた。現場は閉じられた
扉の隙間から黒い煙がモクモクと周りへ漏れ出し
たちこめていた。
「マイカッ!大丈夫か!?あけ…r」
中に居るマイカを心配し、ドアノブに手をかけようとした時
バン!と乱暴にドアが開き、中から黒いススまみれのマイカが
飛び出してきた。
「ケホッ!ケホッ!……うぅ…私の実験部屋、凄いススまみれ…!
掃除をしようとしたら、色々倒しちゃって雪崩みたいに押し寄せて
来て…」
「あ〜そういえば、マイカちゃんの実験部屋は危ないものが
たくさん置かれていたから皆さんに入るの辞めさせていたんだわ」
のほほほんとした感じ言うマーテ。ようやく咳が落ち着いた
マイカは自分の服や髪についたホコリやススを手で払うと
「これは改修作業をする前に、掃除しないと何も出来ないや…」
もう一度ススやホコリがたちこめる部屋入っていこうとするが
そこでいつの間にか、ホウキやはたき、雑巾にバケツと掃除の
臨戦態勢を整えたメイド達が先に入っていく。
「えっ!?…大丈夫だよ〜」
マイカが引き留めようとした時、さらに後ろから
同じような格好をしたウェディのお婆さんも来て
「さすがにこれはマイカお嬢様だけでは大変です。
触れてはいけないものや気をつけて欲しいものなどを
教えていただければ、私たちがキレイにしておきます」
「それにマイカ、あなた…今のでススまみれじゃない〜
ちょっとついでにお風呂入ってらっしゃい。」
「せっかくだアタシも一緒に入ってやる!」
「んーー!…分かったぁ!じゃあえーと、これとあれと…」
ようやく観念したのか、マイカは触れてはいけないものや
気をつけてほしいものなどをお婆さんに伝え、リルカに
お風呂へ連れて行かれるのだった。
☆
一方屋敷での爆発の事など知らないアスカは、
久しぶりの故郷の港町を探索するように歩いていた。
鍛錬の怪我でリルカ・マイカよりも半年ほど遅く
旅立った故郷。出てからの時間はまだ短いながらも
懐かしさを感じていた。人が住めるように開拓されてから
年月が短い新しい島であり、開拓のために各地から
やってきた様々な種族の人々が混じって住む特殊な形態こそ
今のバンデクス島の姿である。
「相変わらず賑やかな町ね♪」
そう一人で呟きつつ、開かれている店を眺めながら
進んでいると、不意に”アスカお嬢様”と声がかかった。
かけられた声の方を見ると、笑顔でおいでおいでをする
商人のおばちゃんが居た。
「久しぶりだねぇ〜軍でお仕事しているアスカお嬢様が、
島にいるなんて、珍しいね〜」
「ちょっと訳があって、軍から休暇を貰うことが出来て
島に里帰りしたんですよ」
「まぁ〜それは良かったねぇ〜♪島じゃあんたたちの活躍は
いつも話題になっているんだよ〜?」
おばちゃんは嬉しそうな笑顔を浮かべながら、自分の事や
普段は知らないリルカとマイカの活躍を聞くことが出来た。
「……あとはどんなお話がありますか?」
「そうだねぇ〜誰が情報源か分からないけど、今は島では
アスカお嬢様の事は”ヴェリナード軍の若手のエース”だとか
”キレ者少佐!”…なんて言われていたかしらねぇ〜」
「へ?…だ、誰がそんな噂を…??」
噂話は得てして、色々間違った方向に向かうもので
彼女本人は全く思ってないような事が広まってしまっていた。
「その噂話なら、マーテ様が流しておられたぞ?」
アスカとおばちゃんが話している横から、買い物を
していたウェディのおばあちゃんがやってきた。
「ふぅ〜ん、今の噂話はマーテ様が…」
「もぅ〜軍じゃそんな感じしないのに…」
と、アスカは自分の顔を被っていた帽子で
恥ずかしそうに隠す。
「マーテ様も昔は、ヴェリナード王宮に勤めていた方だから
情報を仕入れるのが早いのは不思議じゃないねぇ〜?」
そんな事を言われて、余計に恥ずかしくなったのか
「うーもうぉ〜…お養母さんたらぁ……!」
帽子により深く顔を埋めていると、急に何かの気配を感じた。
アスカの急な変化には、おばちゃん達は気づいておらず
話を続けている中、周囲を観察するように見渡すと町の出口へ
向かって、容姿が非常に綺麗に整った青年が歩いていた。
〜続く〜