※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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屋敷でのゴタゴタが一段落し、マイカは改めて
ピアスの改修に取り掛かり始めた頃、リルカは
外へ出て、町を散策していた。
港のバザーに入り、自分の目金に叶うものは無いか
珍しい品物は無いかと見て回っていた。そんな中、
リルカの目に、彼女にとって懐かしい人物の姿が映る。
バザーの品々を同じように物色し、時には品物を
手に取り、見定めているドワーフの女性が居た。
「え、エミカさん!?」
思わず、リルカが声を上げる。それなりに大きな声だったのか
女性もすぐに気づき、振り返る。すぐに自分の見知った相手で
ある事がわかったのか、笑顔で手を挙げる
「おう!リルカじゃないか!奇遇だなぁ〜」
そういって再会を喜び合いながら、露天で飲み物を
購入し、広場の座れる所へ腰をかけた。
「エミカさんは、いつから島に?」
「まぁ2〜3日前に、こっちに帰ってきたんだ。レンドアの店で
取り扱う商品の仕入れと休暇を兼ねてな」
再会の祝杯として飲み物のコップを合わせる。二人はとある事情から
エミカが師匠となり、戦いの技術を磨きあう師弟のような関係になっている。
さらにレンドアで店を構えている彼女には、別の顔もありその面からも
リルカは頼りにしているお姉さん的存在である。
「そんなお前は、どうしたんだ?……まさか軍をクビにでもなかったのか?」
エミカの変化球に、リルカは飲んでいたものを変な所につまらせる
「ケホッ!ケホッ!…違う!話すと長くなるけど…軍から休暇を
貰うことが出来て、島に帰ってきたの」
「そうか…なら良い!じゃあ一緒に休暇を楽しもうじゃないか!」
と、またコップを当ててお互いの苦労を労った。そうして
話題はどんどん移り変わっていき、談話もお開きな雰囲気になり
「さて、このあとはどうしようかなー……」
エミカは今のリルカを品定めするように見ると、
何かを感じ取ったのか
「……いや、久しぶりに成長したお前の力、見たくなって来たな」
「えっ?…また急にどうしたの?」
「ほら!…私は今からお前の実力を試したい!模擬試合やるッ!」
と、エミカはリルカに迫る。その迫力に気圧され、しぶしぶ
試合をする事を了承した。その後の準備は早く、近くで
巡回していた衛兵をエミカが呼び止め、広場での試合の許可を取りつつ、
試合の見届人として引っ張って来る。その間、リルカは近くの武器屋から
鍛錬用に使う木刀を購入して持ってくる。
という具合で試合の準備はあっという間に整い、二人は
それぞれ木刀を持ち対峙していた。
「ルールは、”一度でも転んで地面に手を付いたら負け”。
これで良いな?リルカ」
「はい!それで行こう!」
「では、僭越ながら見届人として私がジャッジを務めさせて頂きます。
両者、構えて!」
衛兵の号令で、二人は武器を構えた。広場で行われているのもあってか
通行人や近くの住民が集まりはじめ、みな一様に固唾をのみ見守る。
「………はじめっ!」
先手をとったのはエミカ。弧を描くような軌道で、詰め寄り
リルカの足に向けて横薙ぎに木刀を振るう。
(いきなり…!相変わらずおっかない!)
相手の攻撃を読み、それを弾き返す。エミカは
弾かれた勢いを利用し、後ろへ飛び退き態勢を直す。
そこへリルカは、体格差を活かし木刀の突きを狙う。
(単なる突き?…いや、これは囮。本命は…”体術”!)
と、エミカは涼しい顔で突き出された木刀を受け流し、
そのままリルカの懐へ入り込む。
「えっ!?…まずっ!」
「ふふっ…面白い事するじゃない!…はい、最小威力の”ドルマ”!」
指を一本立てた先から、小さな闇のエネルギーの塊が放出され
リルカの懐で爆発を起こした。
エミカの想定外の攻撃に姿勢を崩しそうになったが、
リルカはこらえて耐える。そしてドルマを撃ち込まれた辺りを
さすりながら
「痛ッ〜ァ!…呪文は無いでしょ!?」
リルカは涙を滲ませて痛がっていた。それを見たエミカは、
呪文の威力を間違えてしまったのか?と考えた。しかし仮に
間違っていたら吹き飛んで地面に手を付き、模擬戦は
終わっているはずだ。
そうして観察をしていると、リルカの口元が緩んだの見つけ、
笑みを浮かべつつ、迷いなく木刀をリルカに向かって突き出し
「バカ言うんじゃないよ?…私は呪文の威力をしっかり落としてる上に、
……お前、全然効いてないだろ?」
「……あれ?バレてた?」
ー続くー