※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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リングピアスの作り方を一通り読んだマーテは
ぽつりとこんな事を言う。
「マイカちゃん、この本…凄く丁寧に書かれてて
お養母さんびっくりしちゃった♪」
「うん!…こうやって残しておかないと、今のこの時
みたいに困るかもしれないって思って一生懸命書いたの!」
「そっか…それで本を読んで見たけど、ピアスの改良作業
手詰まっているんじゃない?」
その問いにマイカは、背中をビクッとし言葉が出なくなる
そう今日だけでもかなり失敗による爆発を引き起こしている。
それ自体には慣れていて気になってはいなかったし、
何かを聞かれる覚悟もしていた。
でもいざとなるとその心に緊張が走った。
「……う、うん…実は、その…上手く行ってない…の」
絞り出すように言うその言葉を聞いて「やっぱりね…。」と
言った後にまた本の方を見る。マーテが自分の部屋にやって来たのは
今している研究や改良作業を外に出てやって欲しいと言いに
来たのでは無いのかとマイカは思った。
「あっ、その…もしもお仕事の邪魔になってるんだったら、
作業の続き、外に出てやっても良いよ?」
マイカは作業に必要なものをまとめようとした時、
「マイカちゃん」とマーテは声をかける。急に呼ばれ
そちらを向くと、本を優しく閉じ何かを閃いたような
嬉しそうな顔をする養母の姿があった。
「そんな事無いわ。ここで続きをやっても大丈夫よ。これは
貴方たちの”大切な絆の証”で、それを今回良い物へと変えていくのでしょ?」
「うん、でもまた爆発するかもしれないし手探りだからいつ完成するか
分からないの。」
「ふふ…だったらその”作業”、お養母さんにも手伝わせてちょうだい♪」
「えっ!?…でも、これ…その…」
「あら?その顔、お養母さんの事信用してないわねー?」
おどおどするマイカを横目に、マーテは作業で使われていた台に
向かうと、そこにある機材や材料別に分けられたビン類、
紙に描かれている術式などを見渡す。
「そうね…今の様子から察すると、作りたいものは見えてるけど
材料の配合割合が見えてなさそう。次に…これは珍しくて良い素材、
王宮に仕えてらっしゃる”顧問魔法使いさん”の頂きものかしら?」
「え、なんで分かるの?!」
マイカは驚く中、今度は描かれた術式の紙を手に取り
「あと…これちょっと変な所に余計な書き込みが多い。最初のピアスを
作るんだったら、良かったかもしれないね。だからここを
省略したり書き直したりすれば、成功に近づけそう。で…」
「ちょっ!…ちょっと待って待って〜お養母さん!なんでそんなに
よく分かるのー!?」
いつも見ているおっとりした養母からは想像がつかないような
ハキハキした言葉に分析能力に、問題提起と解決法の編み出しと
圧倒されたマイカは、思わず止めに入った。
「お養母さん、これでも島に来る前はお養父さんと一緒に
ヴェリナード王国に居て、その研究院で働いていたんだから♪」
「へ、へぇ〜お養母さんの過去初めて聞いたー」
意外な過去を垣間見るマイカは驚きを隠せずにいる。
「どうしたのー?お養母さん分かる所は出来るけど、他は
マイカちゃんが教えてくれないと、どう進めて行くか決まらないよー?」
「あっ!…じゃあ今、ここの工程で止まってたからそこから
良くない所を地道に直して進めたい♪」
「わかったわ…これをまずー」
と、こうして今度は、二人で三姉妹の絆の証たる”リングピアス”の
強化改修がスタートしていった。マイカ自身がまだ上手く
出来ない所をマーテが上手くカバーし、今まで何度も起こっていた
爆発はパッタリと無くなり、作業は滞り無く
ぐんぐんと作業は前進していったのだった。
〜続く〜