※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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正体を掴めない相手からの攻撃を受けたレヴィヤット。
再び仕掛けられた攻撃を避けながら、位置関係を読み
動き続けていた。
「出来れば相手の姿を目視で確認したい所だな…」
ロスウィードはそう言うものの、自ら近づくのは
得られるものが大きいと同時に先程かわす事の
出来た攻撃を受ける可能性をあげる事に繋がる。
「艦長、ヤットの残り余力を考えると…長期での
戦闘は難しいと思います」
と、エンが言う。ここまで調査とはいえ戦闘は
このような緊急時を除いて想定してなかったため
自衛以上の行為は行えない。
「相手を牽制しつつ、情報収集。そして即時戦闘からの
離脱が一番か…」
そうロスウィードが思い至った時、リンドウが先に動いていた。
「どうやら準備していた”もの”の出番が来たようだな」
「…リンドウ殿、頼む。今は”速さ”が必要だ」
☆
レヴィヤットが正体不明の敵からの攻撃を受けて
戦闘展開をした頃の海上。
まさにその海域の上を、バンデクス島に向かって
高速で突っ切るジェットスキー型のドルボードに
駆るオーガの女性がいた。
「今日のお昼前には、屋敷に着けるかな〜?」
彼女の名は”ユウナ”。バンデ・ヒルフェ家に仕えている
メイド達のリーダーであるメイド長。やる事自体は
他のメイドと大差がないものの、むかし冒険者として
活躍していた経験から腕が立ち世界中を飛び回るパテルと
島で待つマーテの連絡役を請け負っており、定期的に屋敷を
留守にしている。
「パテル様、今回はいっぱい書かれていたから早く
マーテ様に届けたいですね〜♪」
ニコニコと笑顔を浮かべながら、スキーを走らせていると、
突然ユウナの進行方向を遮るように海面が盛り上がる。
「何ッ!?…こんな事珍しいわね!」
スキーを巧みに操り、速度を緩めずに盛り上がった
海面を避けて切り抜ける。
しかしそこで、異常なものを目にした。
「…海の中から、大量の魔物!?」
飛び出してきたのは【芳墨の堕天将フィア】が
率いる【芳墨の華烈兵団】の姿だった。
「ん?…あらあら、こんな所に人がいるなんてね♪」
フィアは笑みを浮かべながら言うと、自身の五指に
それぞれ炎を宿す。
「ふっとんじゃえ…!」
突然ユウナに向かって、火の玉を連続で撃ち出してきた。
「いけないっ!」
ジェットスキーのエンジンパワーをフル活用し、左右に自分と船体ごと
傾け、飛んでくる玉を全てかわしていく。
見境もなく攻撃する様と攻撃してきた相手の周りにいる敵の数も見て、
不利とユウナはすぐさま察し、さらに飛んでくるフィアからの攻撃を
かわし、距離をどんどん離していった。その行動を見て、リランザも
「姉さん、アイツ逃げていくよ!」
「大丈夫〜♪どうも行く先はこちらと同じみたいね。みんなぁ
じっくり追い立てて、恐怖を煽っちゃおうかぁ〜♪」
フィアは余裕の笑みを浮かべ攻撃の手を止め、
軍団に前進するように指示を出した。
「攻撃が止んだ…?」
相手が何をしたいか全く読めないユウナは振り返ると、自分に
攻撃してきた敵とその周りに控えている魔物たちが、追うように
ゆっくりと向かってきている事を目にした。
「まさか…!このままだと島が!急がないとッ!」
ユウナの目的地は【バンデクス島】。使っているジェットスキーも元々
島とジュレットの町を往復する以上の燃料は積まれていないため
彼女の選択の余地は無く。何よりもこれから訪れる危機を少しでも早く
知らせなければならない。そう思ったユウナはそのままの速度で
海上を駆け抜けていった。
☆
一方、まだこれから起こる事を知らないアスカは、この日も
森の奥にある鍛錬場で、リーザと共に修練を積んでいた。
「らいめい斬り!」
リーザの剣から雷の斬撃が、何発も飛び出していく。
地面を抉るそれをアスカは軽やかなフットワークでかわし
そのまま盾を前に突き出し、体当たりで攻撃をする。
「甘いぞ!アスカッ!」
リーザも同じように盾を構え、それ受け止めて押し返す。
バランスを崩させ、そのままもう一度攻勢を入ろうとした時
飛んでいったのが盾だけと見るや否、自分の盾の影に
アスカが居るのを見つけ、
「師匠、いただきですッ!」
レイピアを突き出す。
「ぬおわっ!」
突きの軌道を寸で見抜き、当たらないように反らした。
そのまま動きが止まった。
「ふぅ…よし、鍛錬はここまでにするぞー」
「はい!ありがとうございました!」
二人は互いに自分の武器を収めた。リーザは
笑みを浮かべ
「危なかったが、腕をまた上げたなアスカ!」
〜続く〜