※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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《これから説明する機能が”稼働してない”!!》
《稼働してないって…使えないのか?》
目の前に居なかったとしても、マイカの声から
焦りが伝わってきた。リルカとエミカは落ち着くように
促しながら、どういう風になるはずだったのかを聞いた。
《……実は完成と同時に使える想定だったけど…ピアスが出来た時に、
敵が攻めてきたし、屋敷に帰ってきたアスカお姉ちゃんが
すぐ前線に行くって調整中に言うから、早く渡す為に細かく
チェック出来てなかったの…どうしよう!!》
と、話している内にマイカの声はまた狼狽えた様になってしまう。
《状況は分かったから、とにかく落ち着け…!まずは、どうしたら
使えるか考えるんだ!》
《とりあえず、アタイ達もこのままぜんし…!》
と、エミカの思念通信が突然途切れた。
《な、何…!?》
エミカと同じ現場にいるリルカは、通信を一時的に切り
何が起きたかを確認すると
《…マイカ、緊急事態が起きた。あたしも今から通信できなくなるかも
しれない!…後は一人でなん…!》
最後まで言葉を紡ぐ前に、ブチッ!とリルカの思念通信も切れてしまった。
「え?…お姉ちゃん?…どういう事!?リルカお姉ちゃん!!」
大広場にマイカの声がこだました…
☆
「イタタ…悠長に話していたら、まさかね…」
リルカは自分の身体に走った痛みに耐えながら、体を起こし
最初に自分の状態を確認する。通信中だったとは言え、無意識に
防御をしたのか、左手首の腕帯とその上辺りの衣服の布が破れていた。
そこで改めて周りの状況を把握する。一緒に戦っていた軍の兵士たちは
ほぼ全員が既に倒れ伏しており、リルカとエミカ以外の戦力が瓦解していた。
自分よりも先に敵からの攻撃を受けたと思われるエミカも、自身に
回復呪文をかけて、剣を杖に立ち上がろうとしていた。
「リ…リルカ、だ、大丈夫か?」
荒い呼吸をし、ひねり出すような声で、エミカが呼びかけてくる。
敵からの攻撃がかなりのものだった模様で、右肩に身に付けていた
防具の一部とその下の布地が喪失していた。
「…大丈夫です。それよりも」
リルカは正面を見据えた。そこには太いムチを、左手でゆらゆら
振りながら、立つ魔物の姿があった。
「おやおや…結構、強めにやったつもりでしたのに
なかなか根性があるようでよかったわ…」
「だ、誰だ…!お前は!」
「ヌフフ…私は”誘殺参謀リランザ”、この島を”私たちのもの”に
する為に来たのよ♪」
リライザは、妖しい笑みと笑い声でエミカの問いに答えた。
さらに続けて
「この島には、フィア姉さんの仕事の邪魔をした”小娘”が
居るらしいじゃない?…だから、ソイツに仕返しとついでに
私たちの活動拠点も手に入れようって言う訳♪」
「やっぱりか…」とエミカは呟く。先程の予想が的中していた事に
喜びたい気持ちもあったが、何か次善策を練る前にリランザが
制圧した広場へ足早に乗り込んできたのが予想外だった。
「そういえば、この子たちを壊したの誰かな?」
リランザは、黒焦げになったメガース2機を指差した。
「それなら、あたし達が壊したよ」
「ふぅ〜ん、お前達が壊したの…」
リランザが物思いにふける姿を見せた時、ムチを遊ばせていた
左手が一瞬動いたように見えた瞬間、
「ガハッ…!!」
ピシャンッ!とムチの乾いた音と同時にエミカは、何が起こったのか
分からない表情を浮かべながら突然、吹き飛ぶ。
「エミカさんッ!…いったい何がおきっ…!!」
未だに興味はメガースの残骸に行っているが、再びリランザの
左手が動く。その瞬間、リルカの目が何かの動きを捉え、反射的に
彼女は太刀を抜いた。すると、刀身で何かを受け止めた感触と
音が伝わった。
が、その反動を緩和しきれずにリルカは後ろに押し込まれた。
(うぐっ!?ムチで打たれたのか?…一瞬、ムチがしなったように
見えた気がして動けたけど、束ねられたままにしか見えなかった…!)
「あら、反応出来るんだ?…凄いねぇ…」
いままでメガースの残骸に目をやっていたリランザは、邪魔者を
追い払う様に繰り出していた自分の攻撃を防いだ事に対して
興味が湧いたのか不敵な笑いを浮かべながら、リルカの方を見た。
「”アストルティア”に戻ってきてから、そう時間は経ってないけど…
強者はちゃんといるものね♪」
そう嬉々として話すとリランザは、自分の持つ鞭を
ピシャンッ!と地面に叩きつけて打ち鳴らす。
「ヌフフ、私に貴女の絶望と苦しみに歪む顔…見せて頂戴!」
〜続く〜