※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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場所は反対側のルートの”リルカ”。
「ほらほら!…もっとあがいてみなさいよ!」
リランザの猛攻は留まる所を知らない。目にも止まらない
ムチの攻撃が何度もリルカを襲う。太刀で受け流す事も
出来ているが、彼女の体に痛みが走る回数の方が多かった。
ダメージが徐々に蓄積し、徐々に余裕が無くなり
呼吸も荒くなっていた。
「アハハッ!アタシのムチに打たれ続けて、今も
立っていられた相手は、あなたが初めてね♪…それとも
”やせがまん”なのかなぁ?」
自身の優勢が揺らぐことが無いと、実感したのか
リランザはわざと攻撃の手を休め、リルカを見下す様に嘲笑う。
「……別に…”やせがまん”なんかしてないよ。
それに、ここで負ける気はサラサラない!!」
と、声を張り上げた時、全身に走る痛みに、リルカは
一瞬よろけそうになる。その状態を見て、もう虚言を吐けるほど、
自分の体力に余裕が無い事。仮に隙を見て、自分に回復呪文を
かけたとしても、焼け石に水になる可能性であると、悟ってしまった。
(ーーー自分の体力が尽きて、目の前の相手をマイカが守る
大広場に行かせてしまうのか)
(ーーーいや、それをさせる訳には行かない。今、自分がここを
死守しなくて誰が守れるのか?)
リルカは、自分の中に一瞬生まれた”弱気な思考”を
すぐに振り払った。そして、太刀をもう一度強く握り直し
構えた。その闘志が宿った鋭い瞳は、リランザを睨んでいた。
「ふふ、一瞬よろけた様に見えたけど…見間違えみたいね♪」
そう笑っているのを見て、大きく息を吸った後に、
リルカは強く前へ踏み出した。
「あら…特攻?じゃあ、返り討ちにしてあげる…!」
リランザはムチを打ちならし、攻撃を仕掛けた。
刹那!…リルカは、打ち込まれたムチを刃の腹で受け流し
その軌道を逸らした。
「ウソッ!?」
自身の攻撃を受け流された事に驚きを隠せないリランザ。
その生まれた隙をリルカは見逃さずに、左手を握りしめて
腰だめに構えた。
自分と相手の間合い、軌道をずらされたムチによる反撃は
繰り出したムチを戻さなければすぐに出来ない。リルカは
確実に当てれれる!…そう思った時
「………なぁんてね♪」
と、リランザの表情は驚愕したものから不敵な笑みへと変わった。
同時にリルカの握った拳は、リランザの空いた手で受け止められ、
それを軸に後ろに勢いをそのままに、投げられてしまう。
それにリルカは対応出来ず、受け身もとれないまま地面に
転がってしまう。
「ぐっ…!」
「目論見はよかったわ♪…ただ、ムチも使えない接近戦に
持ち込めば勝てるなんて思わないで頂戴でね。……でも
まぁ、そろそろ終わりにしてあげるわ♪」
その言葉を聞いて、リルカは直ぐ様立ち上がった。そして目にしてしまう。
リランザの空いていた手に”ムチがもう一つ”持たれている事に、
どこから出したのか?と疑問に思った瞬間、そこで気づいてしまった。
今まで、目に見えない速さで攻撃を受けてしまう理由とその実態を
(コイツ…二刀りゅ…!!)
思考を巡らせようとした時、相手の攻撃が始まった。
ピシャーン!!!!!!
(”目”でムチが動くのを見たはずなのに、”耳”で音を聞いたのに…
そしてそれを踏まえて身構えたはずなのに、なんであたしの体に
”痛みが走る”の!?)
「……ぐっ!わあああああっ……!!」
あまりの激痛に、リルカは思わず声をあげてしまう。
(疾い…!そして物凄く重い…!!)
「フフフッ!どうしたのかな?…さっきの威勢を
もう一度アタシに見せなさいよ!」
動く瞬間を見て、防御をしているはずなのに体に痛みが走り、
後から音がやって来る。見て・聞いた情報と自分の
今の状況が一致しない。
当事者のリルカからすれば、異常とも言うべき
魔人のムチさばきに防御の構えを解く事が出来ない。
否……解いてしまった時、それは彼女の”敗北”を意味するからだ。
(ーーー今のままじゃアイツの攻撃を抑えきれない!!)
(ーーーー足りないッ!”速さ”が!)
(ーーーマイカ…急いでくれッ!!)
最後の希望の鍵を握る妹に、リルカは全てを賭け
この猛攻に耐える事を選んだのだった。
★
「よし…ピアス自体には問題は無い」
マイカは言う。時間が無い中で、マーテと共に確認を
した結果、ピアス自体が正常に動いている事が分かった。
「この様子だと…本当に調整の段階で、マイカちゃんが
使いたい………機能の切り替えが出来てなかったようね」
〜続く〜