※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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「これは…事態が悪い方に傾いたか…」
「どうやら…少佐殿たちの居るバンデクス島が魔物たちに
制圧される可能性が濃厚になってしまったようだね…。」
兵士から伝達された内容を聞き、ロスウィードと
リンドウはほんの少しだけ言葉から焦りが出ていた。
「メルー公、お待たせしました」
今度は女性の声がして、そこには紙の束を挟んだバインダーを
持ったユナティが立っており、会釈をしたのち、会議室に入ってくる。
さらにその後から大きめの筒や何らかの機械、本を数冊と
いったものを持って、マルモとエンが続いて入ってきた。
「2人とも、どうしたんだ…艦の整備作業に入っていたん
じゃないのか?」
ロスウィードが驚いた顔をして聞くと、持ってきた資料や機器類を
置きつつ、マルモとエンが答える。
「それが…私たち整備に必要なものを準備する途中で、
副団長さんに呼び止められて、お手伝いしてる内にそのまま
こちらに来てしまいまして……」
「持ってきたものがどれも倉庫や資料室の奥にあったもので
出すのがちょっと大変だったんですよ…」
そう話す横で、ユナティはメルー公の前まで行き
敬礼したのちに、自分が持っていたバインダーを差し出す。
「メルー公、”装置について”はもう伝言が行き着いている
思いますが…他にも本部司令はこんな事を…」
「うむ、目を通そう…」
そういってメルー公が受け取ったバインダーの書類の束を
1枚ずつめくり、内容を読み始める。しばらくして
会議室に大きなため息がした。
「…そうか、そういう事だったのか…」
「メルー公、ユナティ殿が持ってきたバインダーに
何が…?」
「……うむ、今回の件は”マルチナ嬢暗殺未遂”があった
グランドタイタス号の時から繋がっていたみたいだね。」
メルー公は、頭を押さえながらさらに話す
「どうも本部司令は自らの既得権益を守る為に、裏で魔物を
手引きし、現在商業で上手く行っているエスコーダ商会の令嬢…
”マルチナ嬢”を亡き者にしようとした様だよ…」
商会の令嬢暗殺…それはヴェリナード、ひいては
アストルティア全土のあらゆる業界の人々が集まる場で
実行されようとした事自体の恐ろしさに加え、当時は
正体不明の暗殺者が行おうとした事でありとあらゆる問題が
発生し、国家間の問題にも発展しかねない大混乱を招く
事柄だったのが垣間見えた。
「……結果はどうであれ、マルチナ嬢の命を守り通せた事は
のちの混乱を防ぐ意味で良かった訳だな」
「だが、その阻止に入った事で今度は、矛先が三姉妹と
その故郷の島が狙われる事になってしまったか…」
ロスウィードとリンドウ双方が話していると、メルー公は
バインダーを手に持ったまま席を立ち上がると、ユナティを
引き連れて、会議室から外へ向かっていく。
「メルー公?どちらへ行かれるのですか?」
「拘束中の本部司令の元へユナティ副団長と共に行ってくる。
事の顛末や経緯を改めて、私の方からも確認しておきたいからね。
ロスウィード大佐、この場の指揮をお願いしても良いかね?」
「はい、こちらは任せてください」
メルー公とユナティはそのまま会議室を後にしていった。
ロスウィードは二人を見送ると、今後の事で考えを巡らせ始めた。
その一方で机の上にバンデクス島においてある機器に関する
設計図を広げて見るエンとリンドウ。隣では、仕様書を読んでいた
マルモと各々が出来る事をしている中で
「な、なんですかこれは…!」
と、突然マルモが声を上げた。
「どうしたのだ?」
リンドウにエンが、マルモの後ろから覗き込む様に仕様書を見る。
「……これがもし本当にあるものだとして、仮に状況も
加味して”使われた”としたら…!」
マルモの焦り様に、ロスウィードも近くまで行き
「急にどうしたんだ。何か島に設置してある機器について、
分かったのか?」
ロスウィードが問うと、マルモは仕様書が書かれた本を机に
置き、自分を落ち着かせるように深呼吸して
「はい…結界装置に”組み込まれている機能の詳細”が
判明しました。これが使われた場合”犠牲者”が出てしまいます!」
突然のその言葉に、部屋全体に冷たい何かが流れていった。
さらなる状況の悪化に、ロスウィードも息を飲んだ。
「……”犠牲者”が出るか、どうやらますます急がなくては
ならなくなったか」
「…どうも件の本部司令殿は、少佐殿たちのお父上に
相当な悪感情を抱いていた様だね…。」
「……だが、もう本当に時間が無い。…出立準備を
早める!いま動ける者を総動員する!」
〜つづく〜