蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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(”真・魔力かくせい”は、強制的にリミッターを外す奥義。その効果に
振り回されちゃったのもあるけど、私に足りなかったもの……それは…)
(リミッターそのものの制御”コントロール”!)
(……ゼロか全力かじゃ意味が無い…!奥義の本質を見極め…
リミッターの制御と魔力の調整を…最大級の攻撃でも自在に
加減出来る、最適な出力を探し出す!)
(……今度は、私自身の限界を見誤らないよッ!)
マイカが心の中で唱えていると、それに応えるかの様に
周囲に漂う魔力の粒子に変化が起こり始めた。
その変容を感じ取ったマイカは、表情を緩ませて微笑みを浮かべ
感触を確かめる様に指先を踊らせた。すると、彼女の指の動きに
合わせ、粒子が生き物の様に舞い始めた。
(…この感じ、そう…出力を適切に合わせる事が出来れば、魔力自体が
体を突き抜ける事は起こらない。……あと少し…いまの私に合った出力は…!)
魔力を制御する事に集中し、無防備に立ち尽くすマイカ。
ロスウィード達と激しい攻防戦に興じていたフィアは、不意に目に入った
その姿に不敵な笑みを浮かべ、五指の先に紅々とした火球を灯らせる。
「そこでいつまで立ち止まってるつもり…かなッ!!」
高笑いと共に放たれた火球がマイカへと殺到した!
姉二人は咄嗟に振り返り、いまだ目を閉じ動かぬ
妹の名を叫ぶ!
「!!…マイカ!何してる!?」「早く避けなさいッ!!」
「きゃはは♪……終わりよ…!」
(………”見つけた”!)
マイカが目を見開き、映った眼前にはゴゴゴ!と、
5つの火球が迫っていた!咄嗟に魔力の制御で踊らせていた
指でそのまま宙に文様を描く。
「…………”マホステ”ッ!!」
と、マイカは力強く唱える。サッと覆う様に展開された
紫の薄い膜が彼女を包み込む。フィアの五指から放たれた
火球はその膜に触れた瞬間、霧散する様に弾け飛んだ。
その光景に…フィアは再び絶句する。今度こそ
間に合うはずがない確実なタイミングの攻撃。
そして先ほど身を持って味わった”彼女の本気”への
恐怖が、フィアの背筋を冷たく伝って行く感覚を覚えた。
(……!今のが間に合う?…そんな事、ありえな…!?)
否定しようが無い事実を突きつけられ、それでも
認めまいと、彼女の中の傲慢なプライドが叫びを
上げようとした時、さらなる変化が戦場を支配した。
先ほどマイカがばら撒き、周りに漂っていた魔力の粒子が、
何かに導かれる様に規則正しく収束を始めた。
タクトを振るう指揮者のような手つきで、マイカが粒子を操る。
導かれた光の粒子は彼女の身にまとわれ、頭上に二対の角。
背中からは鳥の翼を思わせる桃色の大きな翼が形作られた。
舞わせていた指を止め、ピアスに触れて手元に杖を呼び出すと
静かに柄をグッと握った。フィアを鋭く見据えるその瞳は再び
淡いピンク色に灯り、ピアスも呼応する様に同じ色彩で光り始めた。
変貌を遂げた彼女が放つ圧倒的な気配に、戦場の空気は一変した。
アスカとリルカ…そしてその場にいた者すべてが、思わず戦いの手を
止めて釘付けになった。
「な、何があの子に…起こったの?」
「この気配、今までと違う…!マイカ…なのか?」
フィアを見据えていたマイカは、その視線を姉二人と
ロスウィードに向けると、柔らかな笑みを浮かべて駆け寄った。
「……おまたせ!お姉ちゃんたち、ロスウィード大佐!
一緒に戦おう!」
そういってマイカを加えた4人が、フィア達の前に立った。
しかし先程の放たれた強大なチカラに、リランザやドーターは
おろか周辺の魔物たちも、怖気づいてた。
ジリジリと後ろに下がり、中には兵士たちを前に逃げそうな魔物も
見られ始めた。その様子に指揮を取るユナティも好機を掴み取る
タイミングを伺う。フィアを守るように前に立つ二人も、下がる事は
なかったが声を上げれず、ただ睨む事しか出来ずにいる。
一瞬の静寂。しかし、突如としてフィアが立ち上がり
建物に指先を向け、火球を何発も撃ち出し、それによって
破壊されていった。
マイカに集まった注目が今度はフィアに行く。
目線を落とし彼女は、
「……可愛い可愛い私の子たち。何処へ行こうとしてるの?」
と、まわりに聞こえる様に低い声で言い放つ。そのまま硬直し、
動く事の出来ない自分の妹たちを押しのけ、アスカ達の前へと出た。
その顔は、自信に満ちた表情を浮かべており、戦場を
支配する雰囲気を意に介していないかのようだった。
「ここで逃げても私たちの”帰る場所”は無いわ。それとも
あの”地獄の世界”へ帰りたいのかしら?」
〜続く〜