(前回までのあらすじ)
悪魔道化師ゲイザーとの戦いの中、
旅芸人ホーリンは、ついにゲイザーの力の秘密に気づく。
それは、あまりにも悲しい……旅芸人達の嘆きが生み出した悲劇。
今こそ、かつての旅芸人達に救いの手を!
もはや戦いの帰趨は決していた。
ゲイザーが新しく身につけたスキル――つるぎの舞は、
魔物が使う程度の物でしかなかった。
そしてハッスルダンスもまた、回復量が80にも満たない。
かつて古き時代。
曲芸の100スキルであるハッスルダンスは旅芸人たちの憧れであり。
そしてハッスルダンスを身につけることで、
旅芸人は、攻撃、補助、回復の全ての特技を
曲芸として使うことができるようになったのだ。
だが、時代の流れは残酷だった。
旅芸人にとって誇りとも言えたハッスルダンスだったが、
レンダーシアでの激しい戦いで成長を続ける冒険者達にとって
回復量はもはや物足りないものでしかなかった……。
旅芸人は、攻撃、補助、回復の全ての特技を
曲芸として使うことができる。
だがその全ては中途半端で、
実際には大して役にも立っていない。
旅芸人を入れるぐらいなら、僧侶二人とバトマスがいればいい。
そんな時代さえ、あったのだ……。
旅芸人達は時に他の職業の振りをし、
時に旅芸人同士で難関と呼ばれる戦いに挑戦しながら、苦悩していた。
僕たちはいつになったら、堂々と旅芸人を名乗れるのか……。
だが、あるとき。
ハッスルダンスに回復魔力を影響させられるということに気づいた者たちがいた。
彼らは研鑽を重ね、今ではハッスルダンスの回復量が200を超えることも珍しいことではない。
つまり、ゲイザーの使うハッスルダンスは、
「古いんだ! お前は旅芸人を見限ったつもりで、
時代に取り残されているだけだ!」
「だっ、黙れぇーーーー!!」
ゲイザーが胸ぐらを掴み上げてくる。
「お前に何が分かる!
芸は、無力なんだよぉぉ!
そうじゃなきゃ、救われないだろぉぉ!!」
「それは過去の話だ! 今は違うっ!」
僕はゲイザーを突き放し、宣言する。
悪魔道化師ゲイザー。
お前にこれから、“現代の旅芸人”を見せてやる……!
いよいよ戦いは最終局面へ向かおうとしていた……
(第10章に続く)
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