「私、好きなんですよ。命をかけた戦いが。
芸も似たようなものですよね?
フォッフォッフォ。さあ、楽しみましょう!」
ルルルリーチは、手下の魔物達を率いて襲いかかってくる!
だが僕は、冷静だった。
冷静に、怒っている……!
命をかけた戦いと、芸が似ている、だって……?
「そんなはずが、あるものかーーっ!!」
断空なぎ払いの一閃。
それはこの一年で、新たに身につけた特技。
ルルルリーチの手下…チギー、ラギー、ムギーはあっさりと地に落ちた。
「フォッフォッフォ……さすがは現代の旅芸人ですね。私の手下たちが一撃とは……すばらしい火力ですよ。なるほど、これでは過去の旅芸人だったゲイザーが手も足も出ないのも納得できるというものです……」
そしてルルルリーチは、ニタァ、と嫌らしい笑みを浮かべる。
「だが所詮は、旅芸人」
「なんだと……?」
「私、好きなんですよ。命をかけた戦いが。
旅芸人で、強い敵と戦うのが。
でもね……、フォッフォッフォ。
“本当に強い敵”と戦うその場所に、
旅芸人の居場所はありますか?
ないでしょう? ええ、そうですとも。
ずっと昔から、現在になっても。
本当の強敵と戦うその最前線に、
“旅芸人は必要ない”のではありませんか?」
レグナード。
ダークキング。
そしてまだ見ぬ新たなる強敵……!
たしかに、そこに旅芸人の出番は――
「馬鹿なことを言うな! 旅芸人だって火力が上がったし、回復力も飛躍的に増した! 旅芸人には無限の可能性があるんだ!」
「可能性……? フォッフォッフォ、可能性ですか。いやいやあなた、どうやら忘れてしまったようですね?」
ルルルリーチは、短くため息をついた。
「現代の旅芸人であるがゆえに……忘れてしまっている。かつて旅芸人が、戦士やレンジャーと並び地雷職と呼ばれていた時代があったことを……」
「ですが今では、戦士もレンジャーも強職です……むしろ優遇されているといってもいい……! しかし旅芸人はどうですか? 旅芸人は優遇されているのですか?」
「旅芸人にはたたかいのビートがある。超ハッスルダンスも、エンドオブシーンもあって回復・治癒も可能だ。火力だってそれなりに……何より蘇生ができる!これが優遇じゃなくて何なんだ!」
「ほほう。ではその一つ一つに、絶望を。光さすことのない闇を」
ルルルリーチの瞳があやしく光る……!
「ゲイザーと同じ、旅芸人の絶望を……あなたにも見せて差し上げましょう」
「これは……!」
(第3章に続く)
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