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この度、タマカイ(キングサイズ)が水揚げされましたので、本館床下水槽にて展示します。
併せて、その生態について解説していきます。
【基本情報】
タマカイはスズキ目ハタ科の魚で、ハタの仲間では世界最大です。全長は約3メートル、体重は約400キログラムの記録があるとされています。(なお、今回水揚げされた個体は7メートル超。)
和歌山県、伊豆諸島、小笠原諸島、鹿児島県、沖縄県、台湾南部、香港、インド洋太平洋などの沿岸部の岩礁域・サンゴ礁域に生息します。
【名前】
タマカイは漢字で「魂交」と書きます。これはその見た目・風貌(写真参照)から名付けられたと言われています。
また、沖縄では他の大型ハタ類と共に「アーラミーバイ」と呼ばれます。ミーバイとは「目張り」の変音で、突き出した目から名付けられています。
【メスからオスヘ性転換する?!なぜ??】
タマカイは一生のうちで性転換します。
具体的には、まずメスとして成熟し繁殖に参加した後、オスに性転換して再度繁殖に参加します。これを「雌性先熟(しせいせんじゅく)」と呼びます。
では、なぜそんなことをする必要があるのか?
タマカイのオスは縄張りを持ち、その中で複数のメスと繁殖します。したがって、オス同士は縄張りとメスを取り合い激しく争います。小さく弱いオスは、縄張りもメスも獲得できないのです。
そこで!!若くて小さく弱いうちはメスとして生き、大きく強く育ってからオスになって争いに加わる…という、非常に合理的な生き方をします。
タマカイ以外にも、雌性先熟の魚はたくさんいます。
【サメを丸呑み?!】
タマカイは非常に大きく、サメを丸呑みで食べます!!…と言われます。これは本当の話で、非常にインパクトありますね!
そうは言っても、ホオジロザメのような大型サメを丸呑みにするわけではなく、あくまで小型のサメを丸呑みにするだけです。
ただし…タマカイはその大きさから、「人間を丸呑みにしたことがある!」なんて噂もあります。筆者が確認したわけではないですが、とあるテレビ番組でもそのように紹介されたことがあるようです。
【究極の美味!】
透明感のある白身、皮にあるゼラチン質の層などが特徴で、数日熟成させた刺身(寿司)は非常に美味!
刺身の他にも、汁物、塩焼き、唐揚げなど様々な料理として食べられます。
【養殖に適したハイブリット種「クエタマ」??】
タマカイは前述のとおり非常に美味ですが、天然ものは水揚げ量が非常に少ないです。となると、養殖や海外からの輸入となるわけですが、タマカイの養殖では、海外の非常に稀な例を除き、性成熟したメスを作ることができません。従ってタマカイの完全養殖は極めて難しいのです。
ここで登場するのが、タマカイに近い仲間の魚「クエ」です。クエは成長が遅いという欠点がありましたが、タマカイと交雑させることで、両者の弱点を補った養殖種「クエタマ」が作られました。
【絶滅危惧種】
タマカイは、IUCNレッドリスト及び環境省のレッドリストでは絶滅危惧種とされています。
究極の美味として食卓にのぼり、そして幼魚は観賞用ペットとして飼われることもあるタマカイ。
毎度のことですが、我々は限りある水産資源を大切にしていかなければいけませんね。
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イロハ水族館
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