いつもイロハ水族館をご愛顧いただきありがとうございます。
今回は、和風館で展示しているイワナについて簡単にご紹介します。
★概要★
サケ科イワナ属に属する魚です。褐色〜灰色の体色に、白の斑点が散らばる見た目が特徴的です。
冷水を好み、日本では河川の最上流域等に生息します。
渓流釣りで人気があり、渓流の王様と言われます。
また、淡白な白身が美味しく、塩焼きや唐揚げなどで食べられます。
★何でも食べる!砂をも食べる?!★
獰猛な性格で何でも食べると言われます。虫、魚、サワガニなどの他、ネズミや蛇さえ食べます。
また嵐の前には流されないように川底の砂を食べて身体を重くし、激流に耐えるという話もあります。
★歩く?★
水のないところでも、大きな胸ビレで身体を支え、身体をくねらせて移動することができます。
もともと水が少ない上流域に住んでいるため、水がなくなることがよくあります。こんな時、「歩いて」水のあるところまで移動するのです。
★温暖化に取り残された?★
イワナはサケの仲間です。世界のイワナの仲間をみると、サケと同様、海に下り、成熟して川を登るものが多いです。
しかし、日本のイワナの特徴として、冷水の流れる上流域で一生を過ごすことが挙げられます。(寒冷な地域では例外もありますが。)
これは、かつて氷河期が終わって地球が暖かくなっていく時に、一部が海に下りるのをやめて、水温の低い上流域にとどまる生き方を選んだことから始まったと考えられています。
★黄金いくら!?★
サケの卵は、いくらですね。
サケの仲間のイワナも、いくらのようなプチプチ卵です。
しかも、その色は澄んだ黄色!!「黄金いくら」と呼ばれたりします!
サケは赤色の色素を含むエサを多く食べるので、身も卵も赤くなりますが、イワナはそうではないので黄金色のいくらになるのです!
★日本昔ばなし「イワナの怪」とその教訓★
最後に、「イワナの怪」という日本昔ばなしを紹介しましょう。展示のモチーフです。
…
昔々、今の福島県にあたる地域の山奥に、木こり達がやってきて、木を伐っていました。
仕事に疲れた木こり達は、「明日は根流しをしよう」と話し合いました。根流しとは、木の根や葉っぱを煮込んで作った毒「根」を、川に流して魚を獲る方法です。
その晩、「明日はラクして大漁だ!」と盛り上がっている木こり達のもとに、1人の僧がやってきて言いました。
「…根流しはやめなさい。小魚まで死んでしまう。ひどいことはやめなさい。」と。
気味が悪かったので、木こり達は僧にダンゴを振舞い、「根流しはやめる」とウソの約束をしました。僧は安心した様子で帰って行きました。
翌日、根流しをやめる気など全くなかった木こり達は、根流しを行いました。大喜びで「もっと大きな魚を獲ろう!」と、上流の「底なしの淵」へ行き、持っていた「根」を全て投げ込みました。
するとどうでしょう。見たこともない巨大なイワナが浮かび上がってきました。
その晩、木こり達が巨大なイワナの腹を切り開いてみると、昨日僧に振舞ったはずのダンゴがポロポロと出てくるではありませんか!
昨日の僧はこのイワナだったのだ、と気づいた途端、木こりの頭領がバタリと倒れ、動かなくなりました。
やがて川の水はきれいになり、魚も住めるようになりましたが、この話は今も残っています。
……
昨今、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉をよく聞くようになりましたが、「目標14:海の豊かさを守ろう」の中では、水産資源の持続可能な利用についても触れられています。
イワナは海の魚ではありませんが、限りある水産資源を大切にしなくてはいけない点は同じです。
昔話「イワナの怪」は、現代を生きる私達にも強い戒めのメッセージを送っていると言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか。
お話を知ると、展示の見え方も変わってくるかもしれませんね。
他にも紹介したい生態はあるのですが、長文になるのでこの辺りにしておきます。
イロハ水族館では、今後も増改築、展示の入れ替え、生態解説日誌の投稿、各種企画などを行っていきます。変わらぬご愛顧をお願いいたします。
〜〜お魚好きの方、ぜひお越しください〜〜
イロハ水族館
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