(以下バージョン6.5前期までのネタバレがあります。)
【正八面体】は、正三角形8枚を貼り合わせるとできて、
四大元素の「風(空気)」を表すことがあるそうです。
また、マデ神殿祭具棟の、錬金術師ユマテルの「講義」の絵には正八面体が描かれていて、
現実世界の錬金術では正八面体を錬金作業の「溶解」の象徴とすることがあります。
ここではどういう意図で描かれているのでしょうか。
バージョン4.0でシャンテの薬を釜錬金で作る錬金術師リンカは、こうつぶやきながら錬金しています。
「第一工程 焼成開始!
溶解……分離……再統合完了。
第二工程へ移行……温度上昇。
第三工程 昇華および増殖に問題なし。」
釜錬金でも「焼成」「溶解」「分離」「統合」「昇華」「増殖」は出ていて、ここで「溶解」が出ています(「焼成」は現実世界の錬金術では「煆焼(かしょう)」としている本もあり、定義に若干差分が含まれることもあります。「統合」は「混合」「結合」のことかも知れません)。
これを参考にユマテルの絵について推論すると、
正八面体で「溶解」を表し、これに右矢印が描かれていて「変化」を意味しているようで、なおかつ右矢印は錬金釜の絵の上に描かれていることから「釜錬金によって」という意味合いでしょうか。
すると「溶解」を意味する正八面体は、釜錬金のプロセスではこの後「分離」などへ移行していくはずで、ユマテルの絵はこうした釜錬金の一連の「第一工程」を講義したものなのではないでしょうか。
なお、「溶解」の象徴で「切断された体」というおどろおどろしいたとえもあるのですが、絵のユマテルは錬金の事故により片腕となっていることから、「正八面体」「隻腕」のふたつが「溶解」の象徴として絵に組み込まれているという可能性はあります。
錬金術を意味する「アルケミー(alchemy)」は元々アラビア語由来で、「al-」はアラビア語の定冠詞です。
錬金術師ユマテルはケミル氏族の出身ですが、「al-」を付けると「アルケミル」のように読めて、恐らくこれがケミル氏族の語源になっているようです。
「溶解」は「カニ」によって表されることもあり、発達が阻害された自閉症的な、殻に引きこもる子供(人)として用いられることがあるそうです。
また、カニのハサミは餌食を挟んで殺すほどの恐怖を象徴し、一部の錬金術書では、迫害の恐怖と食われる不安が高まったライオンの口に転化して描かれることもあり、これは「再誕」を表すこともあるそうです。
このゲームでは恐らくヒストリカとリンジャーラのことでしょう(クエスト「失われた時を探して」「波間に消えた記憶」)。
「分離」はバージョン6.3で兄弟姉妹の錬金術で出てきます。
浄罪の泉の水からルティアナの神気を抽出するのですが、兄弟姉妹は
「今回みたいに 物質を分離して
その一部を 取り出すっていうのは
錬金術の中でも 高度な技術が 必要なの。」
と説明してくれます。
(ここまでの錬金術の術語・象徴などの記述は、アルファベータブックスの『錬金術のイメージ・シンボル事典』p.132〜133・219〜220、青土社の『錬金術の世界』p.124・153・156・312〜315、人文書院の『錬金術』p.37、創元社の『錬金術の歴史』p.146などを参照しました。)
ちなみに、ここまで数日で書いた日記のいくつかで、錬金術の作業の術語は「蒸留」「投入」「増殖」「焼成」「溶解」「分離」「統合」「昇華」が出てきましたが、このゲームでいくつの作業プロセスがあるのか正確なところは不明です。
現実世界の錬金術では錬金術師リプリーの12プロセスが有名で、錬金術師ノートンは14プロセスを提唱しています。
【正十二面体】は、正五角形12枚を貼り合わせるとできて、
宇宙や霊的現象を表すことがあるそうです。
一昨日の日記でも書いたように、ウェナ諸島のとあるクエストで出てくる赤い宝石が正十二面体のようです。
【正二十面体】は、正三角形20枚を貼り合わせるとできて、
四大元素の「水」を表すことがあるそうです。
このゲームでは未出でしょうか。
もし正二十面体が出てくれば、正多面体5種類が全て出揃うことになります。
おわり