(以下バージョン7.3までのネタバレがあります。)
ひとつ前の日誌(10)で、女神ゼネシアの肩ひもの留め具・アンルシアのバックル・木かげの集落のテントの部品・宇宙船アルウェーンの無限動力炉の回転部が〝大きな円の中央に小さな円があり、その小さな円を囲う8つの円〟という似た構造になっていることを書きました。
現実世界でこれらと同じ構造のものがいくつかあり、以下書き出してみます。
まず、北欧神話の解説本で昨年夏に発売された、東京書籍の『北欧神話入門』。
この本の p.201 に同じ構造の青銅製のラッパの写真が載っています。
このラッパは「ギャラルホルン」といい、いわゆる「神々の黄昏」が訪れた際に吹かれる角笛です。
「ラグナロク」とは「神々の黄昏」のことで、アズラン外伝クエスト『人形たちのラグナロク』最終話(第5話)のタイトルもそのまま「神々の黄昏」でした。
では〝大きな円の中央に小さな円があり、これらの間に8つの円〟の各構造に神々の黄昏の意味合いはあるのかどうか。
現時点では不明です。ただし、北欧神話というとバージョン7でひとつ気になることがあります。
それは、ゼニアスに現存する天使像が全て東を向いているということです(バージョン7.3時点)。
『ミナデイン vol.8』p.054 に、「東に向かって祈る、朽ちかけた守護天使の像」(聖湖ゼニート)「高台に東方向に祈る天使の像が」(ウォルドの聖簾)と書かれていて、「東」という共通点があります。
メネト村のクエスト785「宿屋スィーテの地図」で宿屋前に置かれた守護天使像も東向きになっています。
既に出ている「東」でまだ使われていない話というと、例えば知恵の社にある『シグルド戦記』の「東の空から 火の矢が落ちた。」が思い浮かびますが、東向きの天使像との関連の有無は現時点では不明です。
なお、バージョン6.4のナドラガの混沌の浜辺で見た流れ星は南から北へ流れているので恐らく「火の矢」とは違うと思います。
また、これも関連の有無は不明ですが、クエスト800「天星の英雄」でフォステイルが用意していた古びた石像が五種族神の神気と同化すると「神兵ダインヘルヤル」に変身します。
この敵のまめちしきに「(クエスト800で使った古びた石像と)そっくり同じ像があと6体ありそれぞれ種族神の偶像として信仰されたらしいが この像がどの神だったかは不明である」とあり、
もし「どの神だったか」と「ダイン」を関連付けするなら、「ダインヘルヤル」は「ダイン」(ドワーフ)+「エインヘルヤル」(戦場で死んだ戦士たちの総称)の掛け言葉という可能性は残るでしょうか。
ただしこの説の弱点は、フォステイルが言っていた「これは はるか昔…… プクランド大陸の とある集落で 種族神信仰に使われていた ご神体の像でね」の、「プクランド大陸」となじまないことです。
「ダイン」は『新エッダ』の『詩語法』第62章「小人(ドワーフ)たちが作った刀のダーインスレイヴ」、「エインヘルヤル」は新潮社『エッダ』p.242「彼ら(戦場で倒れた者)はそこ(ヴァルハラ。戦死者の館)でエインヘルヤル(死せる戦士たち)と呼ばれるのだ」などの用例があり、
『人形たちのラグナロク』第2話のタイトル「ヴァルハラの戦士たち」はここを参照している可能性はありそうです。
次に、心理学の著作でも〝大きな円の中央に小さな円があり、これらの間に8つの円〟が出てきて、
遠見書房の『身体系個性化の深層心理学』p.25によると、大きな円は「心の三層構造(意識・個人的無意識・集合的無意識)」、その「集合的無意識」にある中央の小さな円は「セルフ(中心の元型)」、8つの円は「諸元型」を表しているそうです。
「集合的無意識」は「意味のある偶然の一致(共時性)」とも関わりがあるそうです。
最後に、バルヒューゼンの錬金術書『化学の元素』第8図がこれにかなり近い絵で、
何が異なるかというと、〝大きな円の中央に小さな円があり、これらの間に7つの円〟と、円の数がひとつ減っています。
現実世界の錬金術では7種類の金属と7つの惑星とが対応していると考えられているためで、青土社の『錬金術の世界』p.50-51によるとこの絵は、世界のあらゆるものの原料であると考えられている第一質料の創出を表しているそうです。
なぜ錬金術書を例に挙げたかというと、日誌「プクラスの謎」に書いたんですがプクラスは錬金術の素養があるようで、無限動力炉の回転部が『化学の元素』第8図に似ていたからです。
これを作ったプクラスやパルミオは、ルティアナの光の神装についてどこまで知っていたんでしょうか。
なぜゼネシアの肩ひもの留め具がこの構造になっているのか。
今後明らかになっていくことが期待されます。
おわり