(以下バージョン7.3までのネタバレがあります。)
バージョン7.3をプレイすると、馬に関する何かがたびたび出てくるのが気になりました。
同じ物事が次々と体験される場合、「意味のある偶然の一致(共時性)」においてはその体験者が同じ物事を引き寄せているという考え方もあり、これを「引力性」のような言い方ができると思います。
バージョン7.3の場合、馬が次々と出てきますが、観測者である主人公が馬を共時性的に引き寄せているという見方もできると思います。
引力性についてはキャラクターズファイルのリーネが「買った覚えもない恨みが 世界中から 次々と 配送されてくるんだよ」と自覚症状があったり、
共に絵を描くのが不得手な勇者アンルシアと魔王ヴァレリアが引き寄せ合いルファ神殿で共闘する話もありました。
グランゼニス神(バージョン7.3 ゼクレス城前)
「さすがだな。天馬よ。
エテーネ村の サンダーのみならず
魔族の心にまで届く 美貌とは。」
シオン
「恐縮です。」
ポルテ
「エテーネ村の サンダーって
お馬さんじゃなかった……?
シオくんのこと スキなんだ……。」
エテーネ村のサンダーは、クエスト515「約束の獣」で真のアラハギーロ王国にいたメスの老馬で、エテーネ村に来ると言葉をしゃべる馬であることがわかります。
上記のグランゼニス神の話は、シオンの美貌が動物から魔族まで通じるという意味なのか、
ポルテの解釈のように恋愛絡みのことなのかわかりません。
もし後者なら、サンダーが元々は人間だった可能性はあるのでしょうか。
グランゼニス神(バージョン7.3 ゼクレス城 玉座前)
「はっはっは!
お前は 当て馬というわけだな 天馬よ。」
シオン
「さすがは 我が主。
ウマいことを おっしゃる。」
本命ではないダミーである「当て馬」と、「ウマいこと」というダジャレを言い合うところに、グランゼニス神とシオンの仲の良さが伝わってきます。
7.3ストーリーのラスボス「創失を招くもの」は、バルメシュケに「馬の骨」と二度言われていました。
どこの誰なのかわからない者を比喩的に表しているんでしょうか。
バルメシュケの研究所では、1階の南東にあるカギが入っている宝箱に、うまのふんが入っています。
ここは魔術の研究施設ですが、壁・床・柱が赤と緑の錬金術をほのめかし得る配色になっていました。
ここからは推測というより憶測になってしまうのですが、
もしバルメシュケが錬金術の素養も持ち合わせていたなら、うまのふんは〝錬金の「腐敗」「蒸留」などの過程を進めるのに適切な温度(湿り気のある熱)〟を示している可能性はあるでしょうか。
つまりこの憶測ではうまのふんとカギの組み合わせは〝適切な温度で錬金されたカギ〟を暗示しているということです。
ちなみに闇の領界のカイラム村長の家にある錬金炉で楽園へのカギを製造する話がありました。ただしうまのふんや温度に関する情報は出てこなかったです。
同じく1階の北側にあるツボでは「……ツボから とても いい香りがする」と説明があり、手に取るとうまのふんでした。
ツボとうまのふんの組み合わせも現実世界の錬金術書に記述があり、ツボの中に蒸留器を入れ、うまのふんでツボの真ん中まで覆っておくと良いそうです。
錬金術師パラケルスス著の『アルキドクセン』(邦訳はホメオパシー出版)p.64には「(金属を)未使用の良質なガラス容器に入れ、ひと月馬糞の中に置いておく。その後、中火でそれを蒸留せよ。」という錬金方法が書かれています。
しかし確かにバルメシュケが魔術でツボに仕掛けを仕組んで操心術のテストを行ったという可能性はあると思いますが、
同じ研究施設内で〝カギ+うまのふん〟〝ツボ+うまのふん〟という錬金術めいた組み合わせがふたつも出ているところも気になりました。
クエスト798でゼクレス魔導国の研究者ミデナも「ツボに 手を入れた時についた うまのふんの匂いも 取れないし ほんと もういや……。」と愚痴を言い、馬の話が続きます。
ひとつのマイナーバージョンに「天馬」「サンダー」「当て馬」「ウマいこと」「馬の骨」「うまのふん」と、ただの偶然と流すには馬が集中し過ぎているように思われますが、真相は不明です。
なお、バージョン6.5での英雄たちの連続死も、死が死を引き寄せ何度も死がくり返されるという「再現性」という見方も、解釈の仕方のひとつとして可能であると思います。
意味のある偶然の一致(共時性)について(21)へ続きます。