(以下バージョン7.3までのネタバレがあります。)
ひとつ前の日誌(20)では、バージョン7.3でたびたび目にする馬に関する何か(「天馬」「サンダー」「当て馬」「ウマいこと」「馬の骨」「うまのふん」)について書きました。
しかしふり返ればバージョン7.3より前も馬の話はありました。
バージョン7.2序盤では光の神殿入口でシオンと初対面のポルテが「好物はニンジンですかっ?」と質問したがったり、
7.1をクリアするとエテーネ村にポルテの部屋ができますが、やぐらに乗った馬の形をした木の飾りがポルテの部屋側に向いていました。
7.0と7.1ではパドレア邸を出入りすることになりましたが、家の前に子供用の馬の乗り物のようなものが置かれていました。
これはエテーネ村のやぐらの馬を見た後に来ることになり、ここでも馬がくり返し主人公の目に入ることになります。
(詳細は日誌「意味のある偶然の一致(共時性)について(12)」にあります)
はじまりの地の便せんクエスト771「妖しい輝きを目指して」。
便せん屋シロギは、新しく作る便せんのモチーフをレストリア平野とその方々に散らばっている結晶にしたいそうです。
「うまのふん」「染料」というシロギが何気なく用いた言葉は、いずれも現実世界の錬金術で、錬金の素材もしくは錬金術の比喩として使われるものです。
ひとつ前の日誌(20)で書いたようにうまのふんの〝湿った熱〟は蒸留や腐敗などの錬金過程を進めるのにちょうどいい湿度と温度という説があります。
便せん屋シロギ(クエスト771)
「思い返せば この便せんが 完成するまでに
いくつもの失敗が ありました……。
結晶そのものを 染料の素材にするために
一日中 ピッケルで 結晶を砕こうとしたものの
キズひとつ つかず 筋肉痛で寝込んだり……
なんとも言えない あの色合いがいいのではと
染料に うまのふんを混ぜてみたら
あまりの匂いに 異臭騒ぎになったり……
今思えば なぜ あんなことをしたのか……。」
ジア・クトの残した結晶を力ずくで砕けず便せんの染料として利用できないシロギが、うまくいくかはさておいて無意識裡に錬金術の観点でうまのふんを利用した可能性はあると思います。
また染料は、金属の変成の過程を、生地の染色にたとえるそうです。
染料の素材「ゆらめく妖花」の、風もないのに動き続ける薄紫色のゆらめきが、シロギの便せん化によって固定化されますが、
白色から紫色への変色は、錬金術の金属変成で成功を表すそうで、便せんの染色前(白色)と染色後(紫色)とで錬金術のたとえになっているようにも見えます。
便せん作りには、染料という「霊」と、便せんという「体」を結合させる錬金術的作業に似た一面はあるのかも知れません。
バージョン7.0の前提クエスト575「足りない何か」では、ネルゲルに焼き討ちで殺された少年イバンの転生者である少年ラジが、やぐらの飾りを再現しようとしますが、見た目はだいぶ異なったものになります(上の画像はかつてのエテーネ村のやぐらの飾り)。
バージョン7では一貫して馬の話が出続けています。
どのような意味合いを読み取ることが可能か、馬は7.4以降でも推論を続けて良さそうな素材だと思います。
おわり