(以下バージョン7.3までとドラクエ9のネタバレがあります。)
クエスト046「お受験に協力」はベクセリアの町のクエストで、エルシオン学院の受験を控えた息子のために母親の要求に応じるのですが、
クリア報酬は「さとりのワンピース」で、女性賢者のみ装備可能です。
「賢者」というといわゆる「賢者の石(philosophers' stone)」などの錬金術の匂いがしています。
錬金術における「賢者」という表現の由来は諸説あるみたいで、ガイアブックスの『新錬金術入門』p.19-22 によると、まず錬金術に通じる知を有する古代ギリシアの学者たちから「哲学者」と呼び、
彼らは全てに通じる偉大な哲学者であるので「賢者」でもある、ということになってしまったそうです。
ちなみに学院の創始者エルシオン卿。彼の幽霊であり敵となる魔教師エルシオンの戦闘でのドロップアイテムは「けんじゃのせいすい」で、ここでも「けんじゃ」です。
魔教師エルシオンは怪人系なのですが、この色違いの敵イデアラゴンはドラゴン系で、
ドラゴンというと錬金術の暗示という可能性は残っていると思います(日誌「ドラゴン系の謎」に書いてあります)。
そして、後のストーリークエストから、ベクセリアがガナン帝国の前身であるガナン王国の城そのものであったことがわかります。
日誌「深淵の咎人たちの謎(1)」で触れましたが、ガナン帝国の地下研究室には錬金術を匂わせる複数の器具やレシピ本『超上級錬金学』が置かれていて、天使のチカラを吸い出し魔物に注入する研究に用いられていました。
そのガナン帝国の元々あった地ベクセリアで「さとりのワンピース」という賢者限定の報酬が出されるのが錬金術の暗示を感じさせますが真相は不明です。
クエスト140 「エルシオンの子は世界一!」では、クリア報酬が「さとりのうでまき」「さとりのズボン」「さとりのブーツ」となぜかここでも賢者装備がもらえます。
どうしてこのタイミングで賢者装備なのか謎のままです。
最後にドラクエ10で話を締めますが、ベクセリアの数万年後がムニエカの町のようです。
バージョン7に入り「錬金術」という言葉が出てきたのは、7.3終了時点では、エドアルドの家の2階にある本棚の、錬金術の挿し絵が入った本で、ここ1箇所のみだったようです(見落としがあったらすみません)。
この錬金術の本は、ベクセリアの「さとりのワンピース」とつながりはあるのかどうか。
ドラクエ9ではサンマロウの町でからくり人形を作れる職人が住んでいましたが、彼の服の配色は赤と緑でした。
もしあの技術がムニエカに伝わり本として残ったのなら、サンマロウの職人は錬金術に通じていたのかどうか。
7.2クリア後のクエスト「ゆりかごの語り部」では、若き女神ルティアナが暮らしていた部屋に、錬金術を匂わせる三脚構造がテーブルと椅子に見られました。
椅子を調べると「花の形をした 美しい椅子が 置いてある。」と説明が出ますが、もしこれが錬金術の暗示なら、この世界でも錬金術は花と関わりがあるという可能性はあるでしょうか。
現実世界の錬金術では、イスラム世界でジャービル・ブン・ハイヤーン(ゲーベル)とその弟子たちが8世紀末〜9世紀初頭?以降に錬金術として様々なものを蒸留したことで蒸留器が発達したことに加え、この産物として花由来の蒸留水(バラ香水など)が作れたそうです。
朝倉書店の『錬金術の歴史』p.38-39 には『ゲーベル著作集』英訳版から挿絵が引用されていて、昇華器にはめる丸板の形が女神ルティアナやゼネシアの着ている衣装の、肩ひもの留め具と同じ形をしています。
7.3のバルメシュケの研究所の中央塔や、アルウェーンの町でパルミオ父子が建てた中央の建物はフラスコのような形をしていましたが、
【バルメ】シュケと【パルミ】オは、濁点・半濁点を無視すれば、子音がかぶっています。
錬金術視点でなら、錬金術師ヘルメス・トリスメギストスや、錬金術の歴史に強い影響を及ぼしたヘルメス思想・ヘルメス文書などの【ヘルメス】を仕込ませているようにも見えます(【バルメシ】ュケの方は全部入っています)。
バージョン7で出てきた「創失」は、6.3でルティアナの清泉の水からルティアナの神気を兄弟姉妹が抜き出し物質化した「分離(抽出)」と似ているようにも見え、
創失は呪われしグランゼニスのみならず、創失を招くものとその配下たちが自由に扱うことができ、
退散する時に地面に赤と緑の円が現れてその真ん中から退場していましたが、赤と緑というと錬金術の配色だった例もあります。
創失の正体とは一体何なのか。
エルシオン学院絡みのストーリー系クエストの必要アイテムや報酬などがなぜ賢者的なものが集中して出ていたのか。今後の解明が待たれます。
おわり