(以下バージョン7.3までのネタバレがあります。)
バージョン7.1から行けるようになった「誓約の園」の見た目はドラクエ9の「神の国」によく似ていますが、
北欧神話『エッダ』視点での可能性としては、「神々の黄昏」という世界崩壊の後にも〝火から保護された場所〟である「ギムレー」という館は残るのですが、
現在はジア・クトとの戦いや創失の呪いの後の時代であるようであるものの、「誓約の園」が「ギムレー」を参照しているのか現時点では不明です。
また、誓約の園の中央には3体の神々の像が並んでいますが、11世紀の著作『ハンブルク教会史』の現代英訳版(「History of the archbishops of Hamburg-Bremen」で検索するとインターネットアーカイブで無料で読めます)第4章によると、「最も力強いトールが部屋の中央の玉座に座り、ヴォータン(オーディンのこと)とフリッコ(フレイのこと)が両側に座している。」とあり、かつてのウプサラの神殿で中央にトール、左右にオーディンとフレイ、の三神の像が並んでいたことがわかります。
中央に最も偉いトール神を据えたウプサラの神殿の三神の像と、万物の創造主であるグランゼニス神が中心にいて左右に女神たちが並ぶんでいるところは似ているところはありますが、実際に参照されているかまではわかりません。
7.3の最後で誓約の園の三神の像の前に、女神ゼネシアによって石化されたアストルティアのグランゼニス神の石像が置かれました。
石化は一応『エッダ』で「アルヴィースの歌」に出てきますが、トール神が、小人(ドワーフ)のアルヴィースに問答を仕掛け続け、時間の経過によって現れた朝日を浴びた小人が石化してしまいます。
この石化が参照されている可能性があるとしたら、女神ゼネシアのものよりむしろ、4000年前に穴ぐらにこもって出てこなかったドワーフに似ている感じはありますが、ただしこの場合石化は無関係になってしまいます、
「神々の黄昏」では「フィムブルヴェト」(3度の冬)があるのですが、源世庫パニガルムのフルポティが使う3種類の氷属性攻撃「厳冬酷寒の怒り」「厳冬の訪れ」「酷寒の招き」との関連は不明です。
ただ、昏冥庫パニガルムでは冥氷竜ジェロドーラが使う氷属性の特技や呪文の数が9ほどあり、まめちしきには「ゆりかごの猛吹雪」とあり、ゼニアスで過去に猛吹雪に関する何かがあった可能性があるようです。
フォステイルは「雪」や「冬」について2度言及していますが、これらも北欧神話との関連は不明です。
フォステイル(2021年拾遺譚 銀の丘の不思議な扉)
「ようこそ 時の狭間へ。
君(イルーシャ)が来てくれるのを ずっと待っていたよ。
雪深き地の民が 春を待ちわびるような気持ちでね。」
フォステイル(バージョン6.5後期 魔眼の月)
「やれやれ……。北国の冬のように
うんざりするほどの 長さだ。
こんなに走らされたのは いつ以来だろうね。」
モンスターの観点では、バージョン3.5の空の原点にいる「魔瘴球オド」。
日本教文社の『神秘のオド・パワー』p.134-136 によると、「オド」とは「オーディン」のことで、〝気に似たエネルギー〟とあります。
バージョン7.0でジーガンフは、気が創生のチカラに似たエネルギーであることに気付いて、フーラズーラへの攻撃手段として確立させるに至りました。
「オド」と気や創生のチカラに関係があるかは不明です。
また、バージョン4.1で不死の魔王ネロドスがいましたが、岩波書店の翻訳によるタキトゥス著の『ゲルマニア』第40章に「ネルトゥス、すなわち母なる大地」と、まず大地そのものの説明があり、続いて「この女神」と書かれ、人格を有する大地としての女神という性質が述べられています。
そして、このネルトゥスと同じ語源を持つのが北欧神話の「ニョルズ」ですが、こちらは男神です。
ニョルズとその妻スカジの子供がフレイとフレイヤです(ここの血縁関係はいくつかの説があります)。
ネルトゥスとニョルズについては性別や血縁関係などについて様々な説があるようで正解は出なさそうですが、
話を戻すと男性の魔王であるネロドスの語源は、結局どこに行き着くのでしょうか。
『秘聞録』p.18 には「ネロディオス覇王国」という名称も見られます。
それと、バージョン6クリア後から遊ぶことができる異界アスタルジア。
「異界獣ヘイズ***」(***は「バット」「バイオ」「ナイト」「キング」「シナー」)というボスが登場しますが、
「ヘイズ」とは『エッダ』の「巫女の予言」に登場する女魔法使いです。
なぜ異界アスタルジアで「ヘイズ」でくくられたボス5体が実装されたのか不明です。
北欧神話の謎(4)へ続きます。