(以下バージョン7.4までのネタバレがあります。)
ひとつ前の日誌(25)に続いてバージョン7.4で錬金術の可能性がありそうな箇所について見ていきます。
主神グランゼニス(バージョン7.4)
「だが 私自身が ゼニアスをむしばむ存在へと
変質してしまったようだ……。
早急に 我が身を 封じねばなるまい。」
さらに、「変質」という錬金術用語が不意にここで用いられます。
バージョン6.4で錬金術師リンカがパドレ人形を錬金した際にも「変質せよ」と表現されています。
創生のチカラや変質という言葉から、主神グランゼニスは変質という錬金術操作により創失の呪いを生み出し自身の体も侵されてしまったという可能性はあるのかどうか。
王都キィンベルの錬金術師リンカの部屋には『初等錬金術概論』という本があり、錬金釜を用いた釜錬金の工程について書かれています。
第一工程 焼成・溶解・分離
第二工程 腐敗・凝固・吸収
第三工程 昇華・発酵・増殖
最終工程 変質
また、同じ本で、最終工程である「変質」の定義が「錬金術師が 錬金釜に 少量の魔力を込めることで 物質は ついに 新たなる存在へと変じる」と書かれています。
「錬金釜に少量の魔力を込める」は、現実世界の錬金術の「投入」を参照しているのかどうか。
アルファベータブックスの『錬金術のイメージ・シンボル事典』p.317-319 の「変成」「転ずる」によると、「哲学者の石(いわゆる賢者の石のこと)の作用によって、ある元素ないしは物質を別のものに転換すること」と説明があり、「哲学者の石の作用」が「投入」のようですが、
このゲームの釜錬金では、賢者の石ではなく魔力を込めることで、新たな物質へと変質させることができるようです。
現実世界の錬金術では、その由来は神にあるという説もあり、
不思議の魔塔1階にある『究極の錬金術』という本では「究極の錬金術とは すなわち 生命を創りだす 神のみわざに 他ならないのだ」とあります。
バージョン6.5で神化の光炉について秘伝の間の石碑に残されていた女神ルティアナのメッセージによると、
天の箱舟と神化の光炉のふたつが「とこしえのゆりかごより受け継ぎし至宝」であると説明がありました。
「至宝」(この上なく重要な宝)と女神が言うからにはゼニアス出立の前に神または神と通じる技術者が作り所有していたものなのかも知れません。
誓約の園の女神ルティアナの部屋にあるテーブルとイスは三脚構造で、錬金術で特別な意味を持つことのある「黄金の三脚台」を示唆している可能性は一応残りそうで、
旧型の神化の光炉の目の前にある炉のような装置も3本の管が出ていて、火力をあげるためのふいごも床に置かれていて、秘伝の間は女神ルティアナが創った隠し部屋であることから、錬金術が絡んでいる可能性は残りそうです。
女神ゼネシアが創った神獣ゼナベスティアの「ヘスティア」は家庭の炉を守る神の意味合いはありそうですが、炉というと錬金術や冶金術で対象となる物質を加熱する錬金炉の可能性はありそうです。
また、主神グランゼニスが参照している可能性のある古代ギリシアのゼウスは雷を放ちますが、主神グランゼニスも雷系の呪文や特技を複数使います。
雷は大地を打ち、嵐を呼んで風を吹かせ、雨をも降らすことから、
雷を鍛治の比喩と捉えると、大地という母胎に眠る金属を鍛え、風で炉の火力をあげ、水で熱された金属を冷ますという、一連の冶金の作業とみることも可能で、雷の使い手は鍛冶や冶金術、錬金術に通じている可能性があるという見方もできます。
一応これで主神グランゼニス・女神ルティアナ・女神ゼネシアの三神ともに錬金術の可能性が残る言語表現や道具が見られましたが、真相は現時点では定かではないです。
(この文章を書くのに、岩波書店『ギリシア哲学者列伝(下)』、而立書房『物語ギリシャ哲学史』、星雲社『人間の知恵の歴史 古代篇』、講談社『黄金と生命』などを参照しました。)
意味のある偶然の一致(共時性)について(27)へ続きます。