(以下バージョン7.5までのネタバレがあります。)
バージョン7.5のストーリークリア後に遊べるクエスト829「散る花 咲く花」。
女神ゼネシアの部屋に入ることができるようになりますが、
姉と妹のどちらの部屋にも似た形のテーブルが置かれています。
しかしよく見ると、いくつかの違いがあることがわかります。
この違いの中で特に気になったものがふたつあります。
いずれもテーブルの裏側からまず一本の足がのび、
そしてここから3本足に分岐しているところは姉妹共通なのですが、
違いのひとつ目は、姉の足は妹の足よりやや太く、なめらかさを欠いているように見えます。
姉の足はふたつの足を後から接合したような跡が見られますが、
妹の足はそうした跡がなくひとつの金属をのばして作ったように見えます。
違いのふたつ目は、妹の3本足はそれ自体のみで地に立っていますが、
姉の3本足には後からさらに足を継ぎ足したようなものが付属しています。
日誌「深淵の咎人たちの謎(1)」「ポルテの師匠・レトリウス・グランゼニスの語源について考える(2)」で触れていたんですが、
1本の管が3分岐する構造の蒸留器を、現実世界の錬金術で「トリビコス」といいます。
また、3本足という観点では、同じく現実世界の錬金術で「黄金の三脚台」と呼ばれる場合があります。
(いずれの具体例も上述の日誌で挙げてあります。)
天星郷の神化の工房。初期型の神化の光炉のすぐそばに「トリビコス」型の、3本の管が走る蒸留器と炉が結合したような器具が置かれていました。
そばには火力を上げるためのふいごが置かれていることからも、
ただの金属の精製炉というよりトリビコスの蒸留効率を高めるための錬金炉のように見えます。
姉妹の部屋にあるテーブルをちゃぶ台返しすると、神化の工房の器具と構造上は同じであることがわかります。
秘伝の間は、とこしえのゆりかごから受け継がれたふたつの至宝「神化の光炉」「天の箱舟」を置いておくために女神ルティアナが作った隠し部屋で、
神化の光炉は錬金術めいた器具のそばに置かれていますが、ゼニアスの誰が、どんなテクノロジーを駆使して作ったものなんでしょうか。
では、姉妹のテーブルは錬金術の象徴なのかどうか。
現時点では確実な答えはないようです。
ただし、「もし錬金術が関与しているなら」という仮定のもとで予想をすると、
筋が一応通る事柄がいくつか出てきます。
例えば上述の、姉の足がなめらかさを欠き、足を継ぎ足したような構造になっているのは、
もしかしたら姉の錬金術の能力が妹に劣っているという暗示の可能性はどうか。
妹の方が錬金術の器用さが高く、なめらかな足を継ぎはぎなしで作ることができたのかどうか。
「黄金の三脚台」という錬金術の観点では、三脚はしっかりした錬金術の技術に基づいて作らないとふらついて倒れてしまいますが、
平凡社の『錬金術図像大観』p.137-147にあるように、もし三脚が〝錬金術の三賢人の化学論文〟で安定して地に立てるのなら、
姉の足のように、足の継ぎ足しをしてふらつきを抑える必要はないはずで、
この点でも姉の錬金術の器用さは妹に劣っているという可能性は推論できます。
なお、「トリビコス」または「三脚台」という観点では宇宙船アルウェーンにあるイチゴ型の小型艇も同じ構造をしています。
そして6000年前の過去へ飛ばされたプクラスは、竹製の蒸留器を作り上げていて、
これは5000年前の王都キィンベルの各世帯にある蒸留器とワグミカがけしからん水を出すために作った蒸留器を組み合わせた形をしていますし、
ドラクエ9ではグレイナルのいたドミールの里で酒造りに用いられた蒸留器が置かれていて、プクラスやワグミカの蒸留器と似ているところがあります。
もしプクラスに錬金術の素養があるのなら、父パルミオやメギストリス王家の血筋、そして女神たちはどうだったんでしょうか。
女神ゼネシアの謎(14)へ続きます。