テロぼくめつの冒険日誌

（以下バージョン7.5までのネタバレがあります。）



ひとつ前の日誌（３３）に続いて「火」について考えてみたいと思います。


女神ゼネシアが神獣ラキをモデルにして創った神獣ゼナベスティア。
恐らくゼネシアとヘスティアを掛けていると思うんですが、なぜこの神獣の名付けにヘスティアを用いたのか。
確かにギリシア神話に登場するヘスティアは炉（かまど）の神なので「火」と関わっている可能性はあり、そこから「怒り」や「攻撃性」が出てきているのかもしれないですが、
もうひとつ可能性のありそうなエピソードが『ホメーロス風讃歌』と言われる歌集に載っています。
「ホメーロス風」というのは、古代ギリシアの詩人ホメロスの文体や語彙に似ているという意味で、作者は不詳だそうです。
この邦訳である平凡社の『ホメーロスの諸神讃歌』所収の「アフロディーテー讃歌」p.237-238に文語調の訳でこう書かれています。

「この尊い女神（ヘスティアー）にポセイドーンとアポローンが求婚したが、
　女神はさらにこれに応ぜず、かたくなに拒んだ。して、
　神威楯（アイギス）もつゼウスの頭（こうべ）に手を触れて、いとも尊い女神は、
　永遠の処女の身たらん、との大いなる誓いを立てたのだが、
　その誓いは遂げられたのであった。
　父神ゼウスはこの女神に、結婚に代えてうるわしい名誉を授けた。
　それゆえに女神は最も良い座を選び、家の真中に座を占めている。
　またあらゆる神殿において崇められ、
　なべての人間たちは、この女神を神々のうちで最も尊ぶ。」

ヘスティアはゼウスの計らいによって家の真ん中に位置取ることができています。
そして古代ギリシアや、ヘスティアがウェスタとして伝播した古代ローマでは生活に火が不可欠で、
炉が家の中で重視され、古代ローマでは炉の女神ウェスタをまつるウェスタ神殿が作られたそうです。
このゲームの神々には現実世界の神話のような神々の結婚の概念は現時点ではなさそうですが、
こうした〝家の中心〟〝都市の中心〟への強いこだわりは女神ゼネシアに見られると思います。

なお、「グランゼニス」や「ゼニアス」という名称は「ゼウス・クセニオス」（異邦人を歓迎するゼウス）の「クセニオス」から来ている可能性はあり（日誌「ポルテの師匠・レトリウス・グランゼニスの語源について考える（２）」）、
グランゼニスもゼウスも雷を操る（日誌（２６））共通点があります。
　 　
ウェスタ神殿は円形神殿になっていますが、誓約の園の女神ゼネシアの部屋の西側にある小さな円形（ぽい正八角形の）神殿との関連は不明です。


バージョン7はまだ7.6が残っていて、出てくるかどうか不明なのが、ドラクエ9に登場した破壊神フォロボスなどの魔空5兄弟で、
火星の衛星であるフォボスを参照している可能性はあると思います。
ちなみに火星の衛星は２つあり、もうひとつはダイモスですが、恐らく源世庫パニガルムに登場する鉄巨兵ダイダルモスの参照元の可能性はありそうです。
もし7.6以降でこのあたりのエピソードが出てくれば、なぜ女神ルティアナが火星の衛星にちなんだ名付けをしたのかがわかるかも知れないです。
　 　
誓約の園の上空（写真左上）に何か星のようなものが浮かんでいますが、にじんだような見え方になっていて、正確な形・大きさ・色はよくわかりません。
ただ、星全体の大きさに対してへこんだ箇所が大きく見えなくもなく、フォボスや火星を参照した星という可能性はあるのかどうか。7.6以降でなにか進展はあるか期待されます。


源世庫パニガルムに登場する冥炎翼マゥフラートは、アラビア世界の精霊「マリード」と「イフリート」の掛け言葉（「マイフリート」→訛らせる→「マゥフラート」）の可能性はあるでしょうか。


以下、同じようなものごとが立て続けに体験される「連続性」（共時性）の、バージョン7での「火」の予想です。

クエスト575…馬（ペガサス）→翼の花飾り→ポルテ（花柄衣装、生命力を操る）が馬の見つめる先に住む（ネルゲル襲撃前は鍛冶場）
パドレア邸前に馬のおもちゃ
バージョン7.0…香炉の火（メネト村でポルテは四大元素を理解していた素ぶり）
クエスト771（はじまりの地便せんクエスト）…うまのふん
クエスト783…馬小屋
バージョン7.2…にんじんとファルシオン、レイジバルスの魔力の残り火
バージョン7.3…天馬、サンダー、当て馬、ウマいこと、馬の骨、うまのふん、馬鹿からの石化（生命力の凝固？）
バージョン7.4…ゼネシアの怒り（の火）、キャラメルとポタージュのミルクはどこから来た？
バージョン7.5…怒りのゼネシアの死（火の浄化と生命力の復活？）



意味のある偶然の一致（共時性）について（３５）へ続きます。