(以下バージョン7.5までのネタバレがあります。)
バージョン6.4で、兄弟姉妹は自由人の集落のワグミカに会いに来ます。
兄弟姉妹
「永久時環の小型版を 作るってなると
たしかに 難しい問題に感じるわよね。
でも 錬金術の隠れた名著 『叡智の指針』
第二章 三節にある エテネオル理論を
応用してみたら どうかしら?
今じゃ 忘れられている理論だけど
永久時環を作る際に 参照されたという
大事な基礎研究だったのよ。
あたしたちで 計算式を再構築すれば
装置の小型化も 実現できると思うんだけど
ワグミカさんの意見を 聞かせてくれる?」
ワグミカ
「………………ひっく。
ワシ以外に あの古くさい クソ地味な書物を
精読している者が いたとはのう……。」
兄弟姉妹は長い放浪の旅のどこかで、永久時環とエテネオル理論のことを、『叡智の指針』を読んで学んでいたようです。
エテネオルの「エテネ」は恐らく「エテーネ」から長音(ー)が落ちたものと思われますが、
ここでウチナリモ光学のことが思い出されました。
「ウチナ」に長音を付けると「ウチーナ」で、子音をそのままで母音をいじると「エテーネ」になります。
もしかするとウチナリモ光学とは、エテーネに関する学問なのでしょうか。
ちなみに、ティプローネ高地にあるレトリウスのいさおしの書かれた石碑の最後に、
「キュレクスの提言により 新たなる国の名は
エテーネと定められた。それは 異邦の言葉で
「永遠」を意味するという。」
とあり、バージョン7.4までプレイすれば「異邦」の候補としてキューロピアの可能性はありそうですが、
思い返すとキューロピアのストーリー中には「エテーネ」という言葉は出てきませんでした。
いずれにしても、もし「ウチナリモ」に「エテーネ(永遠)」が含まれるとするなら、
いつ誕生した学問なのかは不明ですが、多少の訛りが起きても辺境の町にまで名前が残り続けていて、学問に足を踏み入れる以前の少年シャルルがこの学問名を知っているのには何か理由はありそうです。
また、錬金術がウチナリモ光学に関与しているかどうかは、上述のように今後の話の展開の可能性のひとつになってしまいます。
ただ、もし錬金術絡みなら、ウチナリモに付いている「光学」からの憶測ですが、1704年に『光学』を著したニュートンが錬金術に没頭していたことと(詳細は日誌「ムニエカの町の謎(3)」にあります)、
バージョン7.4でキューロピアに旅立つ直前に王都キィンベルで「王立錬金術協会」の設立許可の条文をメレアーデが作成するところだったのですが、
「王立協会」というと現実世界にも実在し、1660年にロンドンで設立された世界最古の科学アカデミーで、上述の『光学』の一部分が1675年に王立協会の要望で書かれています(岩波書店『光学』p.23、p.360)。
ここが憶測であるのは、ゲーム中に王立錬金術協会とウチナリモ光学との間に関係性があるという話が書かれていないからです。
それに、ウチナリモ光学という言葉が旧オフライン版の少年シャルルが発したのちに、2017年11月のバージョン4リリースに伴い廃止になってしまい、
ここが補完された『さまよえる錬金術師』というゲーム中の本でもウチナリモ光学の話はカットされています。
旧オフライン版の兄弟姉妹のストーリーには錬金術に関する伏線候補と思しき情報がいくつかあり、
また、一般論になってしまうのですが、長編ストーリー作品では序盤の一見何でもなさそうな描写に、終盤で明らかになる重大な出来事の伏線を含ませる場合があり、
旧オフライン版を廃止にしてしまうとここにあった伏線候補が伏線だったのかどうかを、後になって確認することが厳しくなるという難点が発生してしまいます。
おわり