(以下HD-2D版ドラクエ1&2とバージョン7.5までのネタバレがあります。)
ドラクエ2の世界はドラクエ1のかなり後の時代のようで、今回は海底を冒険できるようになりましたが、
海底に「なぞの海底基地」という場所が出てきます。
ここは大神官ハーゴン直属の4体のボスのひとりである魔物ミリエラの潜伏先ですが、いくつか気になる器具が出てきました。
「伝声管」という、金属製の長い管を通じて遠方へ声を伝わらせる器具が設置されていたのですが、
金属を加工するには冶金や鍛治の技術が必要になるはずです。
現実世界ではかつて冶金や鍛治は錬金術と密接な関係がありました。
金属やその他の素材を精製・加工する行為が、成功するかはさておき、錬金術によってもなされようとするようになります。
魔物に果たして冶金や鍛治、錬金術のノウハウはあるのでしょうか。
ドラクエ10ではムニエカの町のクエスト792「消えることのない炎」で、灯台の火を灯す器具につながる給油パイプがさびついていて修理をしましたが、
さびつくということはパイプは金属製と思われ、ムニエカの町にも冶金や鍛治の技術者がいたのか気になりました。
なぞの海底基地には天秤も置かれていました。また、絵が小さく判別しづらいのですが小型のフラスコのような器具も見られます。
このふたつの器具が伝声管と一緒に同じ基地にあると錬金術の存在を疑ってしまいますが、
さらに気になったのが基地内に恐らく数十はあるシリンダーの存在です。
ドラクエ10のバージョン4ではエテーネ王国の王立アルケミアで、錬金術で作ったシリンダー内で、魔法生物を錬金術により培養していました。
シリンダーの存在が錬金術の存在をも疑わせるのですが、しかしこの基地にあるシリンダーの数はざっと数十はあります。
なぜこれだけ大量のシリンダーを基地内に設置する必要があったのか。
そもそもこの基地はミリエラが建てたのか、それとも錬金術の素養のある妖精族によるものなのか。
正直ここが判断がつかなかったところで、確かにミリエラが冶金や鍛治、錬金術に通じていたのかも知れないですし、
もし妖精族によるとしたらこの基地の位置が精霊のほこら(メルキド南部の毒の沼地付近)に非常に近い場所で、
妖精族は精霊ルビスを同志と考えていることが影響して海底に錬金術の施設を移動したという話は作れそうですが、そうした直接的な話はゲーム中に描かれていませんでした。
ちなみに、ドラクエ1のアレフガルドにあった妖精の隠れ里はドラクエ2ではなくなっていて、サマルトリア城の西部に妖精の城ができ、妖精たちが移住していました。
この世界の妖精は寿命が長いようで、長命の者ではドラクエ3の時代の妖精がドラクエ2にいました(時系列はドラクエ3→1→2)。
話を戻すと、王立アルケミアの魔法生物培養シリンダーを見た後に、なぞの海底基地の数十ものシリンダーを見ると、よからぬことも可能性のひとつとして推測してしまいます。
シリンダーの上下のふたには経年劣化によると思しきサビや変形が見られ、作ってからの年月の経過が見られますが、
ふたが上下に平行に位置し、シリンダーのボディ(ガラス?)は不純物が含まれていなく形の歪みもないので、高度な製造技術により作られたことがうかがえます。
しかし依然としてシリンダーの製造・設置者がミリエラか妖精族かはわかりませんでした。
ボス戦のあるミリエラの部屋には、大きなフラスコのような形をした、のぞき窓の付いた炉のようなものが設置されています。
これも誰が設置し、誰が利用していたものなのかわかりませんでした。
あとひとつ気になったのは、基地のあちこちに生えているバラの存在です。
大きな灰色ベースの廃墟のような場所に赤い花を咲かせ緑の葉も一緒にあることで赤と緑が目立って見えました。
疑問に思ったのは、空気があるとはいえ海底の基地なので塩分で簡単に枯れてしまいそうなものなのに、花も葉もシャキッとしています。
ドラクエ10のカミハルムイではハネツキ博士が年中咲かせることのできる桜を錬金術で維持していますが、
海底基地のバラは錬金術など特定の技術で咲いているのか、違うのか。
赤いバラは現実世界の錬金術では、錬金術の最終段階での作業の成功や、赤い石の象徴表現になることがあります。
赤と緑というと兄弟姉妹の筆頭研究員の服など錬金術の配色としてドラクエ10のさまざまな場面で出ていました。
ドラクエ1の妖精の隠れ里にあった錬金術用の魔法陣や錬金器具はどこへ行ってしまったのか。
なぞの海底基地は名前の通り「なぞ」に満ちているようです。
HD-2D版ドラクエ1&2について(3)へ続きます。