テロぼくめつの冒険日誌

（以下HD-2D版ドラクエ1&2とバージョン7.5までのネタバレがあります。）



ここからドラクエ1&2で錬金術視点で気になった点を書いてみます。
日誌（２）に連動した内容になります。


妖精の隠れ里の「族長（夢の妖精）」は、他人の夢の中にメッセージを表すことができます。
たとえば、主人公の夢の中で、灯火のシロップという霊薬はかがやき草と目覚めの花を素材に錬金すれば作れる、と教えてくれます。
錬金の仕方をアドバイスするということは、族長は錬金術の素養があるという意味のようです。

錬金の妖精
「族長さまは　あーしの　シショーでさー。
　紋章のつくり方も　おしえてくれたんだ。
　あーしには　ものづくりの
　才能があるから　ってねー。」

「錬金の妖精」は「シショー（師匠）」という言葉を用いて、族長が錬金術の師匠であることと、錬金術で作成可能な紋章の作り方（錬金方法）も教えてくれたことを主人公に話してくれます。
また、錬金の妖精のこの話を主人公が聞くことが、負傷した族長が目覚めるというストーリー進行のフラグになっているので、
一見何でもなさそうな表現でも、特定の意図があって描かれている可能性はありそうです。


ドラクエ2では敵が紋章のことを「石ころ」と表現しますが、
現実世界の錬金術では第五元素（創生のチカラに似たもの）やいわゆる賢者の石のことを「石ころ」といい、
普通の人にとっては日常生活であちこちに落ちているものなのに錬金術の視点が欠けているために気付くことができないそうです。
紋章はドラクエ1の主人公がアレフガルドの各地で集めた素材を妖精たちが魔法陣（日誌（２））で錬金・変成したものなので、
紋章を石ころと表現するのは錬金術の暗示になっているようです。
紋章は、族長が考案したもので、大いなる自然のちからを集め、それらが凝縮されたものだから、妖精が影響を受けることもあるそうです。
では、なぜ妖精は自然のちからがこもった紋章に影響を受けやすいのでしょうか。
ゲーム中に説明はなかったですが、妖精が四大元素（火水風土）という自然の通路・媒介的役割を果たしているから、という可能性はあるでしょうか。


紋章を妖精たちが錬金する理由は、別世界にいる精霊ルビスをアレフガルドの世界に呼び戻し、世界を加護してもらうためです。
竜王の闇のちからが強まると毒の沼地が増えてそこから瘴気が発生してしまったり、
魔物が世界中で人を襲うようになってしまうそうなのです。
ルビス召喚に必要なものは「ようせいのふえ」「ぎんのたてごと」「紋章」で、
ふえで奏でた聖なる調べはそれだけでは異世界に届かず、
たてごとの音色でふえの聖なる調べを遠い世界に届けることができるそうですが、
遠い世界へ音色を届けるというとドラクエ10のバージョン4.0と6.4で出てきた「伝声の琴」と機能が非常に似ています。
伝声の琴は錬金術師ディアンジが錬金した器具でした。

ぎんのたてごとの説明で気になる記述があります。

「ああ　世にも素晴らしき　その音色
　バラのように　かぐわしく
　春風のごとく　たおやかに
　人の心に　しみわたる」

音色がバラのようにかぐわしい（良い匂い）というのですが、
日誌（２）に書いたようにバラは錬金術の比喩の可能性が残っています。
ぎんのたてごとが錬金術と関わっているかは不明ですが、唐突にバラという言葉が出てきて、
ドラクエ2のなぞの海底基地では大量のバラが咲いていて、伝声管、フラスコ、シリンダーなどといった冶金・鍛冶や錬金術を思わせる器具が複数あったことも気になりました。



HD-2D版ドラクエ1&2について（４）へ続きます。