(以下HD-2D版ドラクエ1&2とバージョン7.5までのネタバレがあります。)
日誌(3)に続いてドラクエ1&2の錬金術視点での疑問を書いていきます。
「かすみの妖精」が、監禁され衰弱した族長(夢の妖精)を心配し、
「花の蜜と バターを
もりもり乗せた パンケーキ
たくさん 食べさせないとね!」
と言うのですが、ドラクエ10の魔窟アラモンドのクエスト725で
天使長ミトラーがピコの作ったパンケーキを口にし、初めて食べた、とやや違和感の残る発言をします。
バージョン4.0のクエスト476によるとエテーネ王国ではパンケーキを焼くのに錬金術で作ったアルケミ水を入れるとふわふわのパンケーキが焼けるそうです。
バージョン6.0の最後でラダ・ガートの魂を閉じ込めた器具はフラスコのような形をしていました。
錬金術を知っている可能性や赤いサングラスと緑色の目という錬金術めいた配色の疑いは残りながらも錬金術のパンケーキへの応用を知らないというのは妥当なのか、何か理由はあるのか。
また、バターはどう製造しているんでしょうか。
バターの原料となる乳を出す牛や馬などが妖精の隠れ里には見当たりませんでしたが、バージョン7.4のキューロピアでもキャラメルやポタージュの材料となる生乳がどこから入手されたものなのか不明のままでした。
そして、小麦と錬金術に関係はあるんでしょうか。
現実世界の錬金術書では、パン(ケーキ)を焼くために小麦粉をこねたパン生地は錬金術の白色化の過程をあらわすことがあると書いているものがあります。
ドラクエ10のパルミオ博士の家にプクラスのベビーベッドが置かれる前には袋が置かれていて
「小麦粉の入った袋がある」と説明が出ます。
プクラスは錬金術に通じている可能性が高く、その前振りとして小麦粉の入った袋が置かれていた可能性は一応残ると思われます。
竜王討伐後に妖精の隠れ里へ行くと、「しずくの妖精」が気になることを話していました。
「……正直 なぜ 私なんかが
生きのこってしまったんだろうって
考えてしまうことがあります。
でも 師匠に
そんな気持ちを 見透かされて
すごく 怒られたんです。
師匠は すごく 怒って……
泣いていました。
あんなカオ もう二度と させたくない……
だから……あの子たちのぶんまで
がんばって 生きていきます。」
この「師匠」とは誰のことでしょうか。
日誌(3)に書いたように錬金の妖精は族長(夢の妖精)のことを師匠と呼んでいましたが、
この師匠も同じく族長と言えるのかというと、確定はできないと思います。
「師匠は すごく怒って」が、ゲーム中で見てきた夢の妖精の性格や言動からは考えにくいのです。
錬金用の魔法陣が置かれた錬金工房は複数の妖精が出入りしていて、
不滅の炎から錬金した紋章を「たいようの紋章」と言い表したのは「里長(こだまの妖精)」でした。
こだまの妖精は少しきつい表現で他人にものを言うことがあり可能性は残りそうですが、確たる証拠はないです。
こだまの妖精の声はファイルーズあいさんが担当していて、ドラクエ10ではナンナの声もやっています。
ナンナというと、異界アスタルジアでの会話から赤いリボンの由来がわかり、カブとドルタムが花を集めて染めて作ってくれたそうです。
白を赤に染めるという染色は、現実世界の錬金術では「白色化(アルベド)」から「赤色化(ルベド)」への比喩として錬金術書だけでなくさまざまな文学作品でも用いられていますが、ナンナの赤いリボンはどういう意味合いがあるかは不明です。
ドルタムとの会話によると三闘士のいた穴ぐらには元々ガラクタがあったそうですが、ゴフェル計画で避難していた祖先に物を製造する技術があったという可能性はあるのでしょうか。
王都キィンベル北東にいるオーガ男性のデグアドは、バージョン4.5で現代にエテーネ島ごと時渡りした際に体調不良の様子をこう話していました。
デグアド
「う〜ん……どうも さっきから
すぐれなくてね。二日酔いのときみたいだ。」
デグアドはゴフェル計画の帰還者です。
もし避難先でも飲酒していたとするなら、酒を醸造する技術は必要だったはずです。
避難先に酒や水を蒸留するための蒸留器は持って行っていたのかどうか。
クエスト704「いにしえの決意の行方」で、エルフ女性のアオサはハクオウ亡き後に
僧院で修得していた技術で人々の役に立とうと奔走していたそうですが、
僧院で学んだというこの「技術」の実態は何なのでしょうか。
ゴフェル計画と帰還後までの五種族と人間の生き残り方、ドワーフが穴ぐらにもぐってしまった経緯についても今後描かれることが期待されます。
おわり