(以下バージョン7.6(前期)までのネタバレがあります。)
ひとつ前の日誌「ドラゴン系の謎(3)」では、創絶の崩界竜が自身のしっぽをくわえるポーズについて触れましたが、
現実世界の錬金術書や解説書ではさまざまな「食べる」行為が描かれています。
獅子が太陽を飲み込んだり、鷲と獅子がむさぼり喰らい合ったりし、
こうした「食べる」行為は錬金術のプロセスのひとつである「溶解」(と「凝固」)の象徴表現になっているそうです。
アルファベータブックスの『錬金術のイメージ・シンボル事典』p.99-100によると、
「錬金術師の目的は、揮発性の物質(恐らく霊魂や液状のもののこと)を固定化する(コアグラ=「凝固」)と同時に、
固定化した物質(肉体も)を霊(精気)化する(ソルウェ=「溶解」)ことで、
対立し争う2つ組(硫黄と生ける銀つまり水銀)を結合させることである」そうです。
また、「分離」と「結合」は、「溶解」と「凝固」と同一視されることがあり、
ポルテ一族の、肉体や魂の「分離」と「結合」の、特に「分離」が「食べる」「溶解」の伏線や象徴である可能性はあると思います。
バージョン6.3では兄弟姉妹が天星郷の浄罪の泉の水からルティアナの神気の「分離(抽出)」を錬金術により行っていましたが、こう説明していました。
兄弟姉妹
「錬金術っていうのは 基本的には
全く違う物質同士を 混ぜ合わせて
調合するための 技術なのよ。
だから 今回みたいに 物質を【分離】して
その一部を 取り出すっていうのは
錬金術の中でも 高度な技術が必要なの。」
「物質を分離」というと、赤髪ポルテと緑髪ポルテの分離や、緑髪ポルテと創失を招くものの〝肉体の分離〟と似ていて、
「分離」が「食べる」「溶解」と意味的につながっている可能性はあり、
クエスト840でもポルテの「お師匠様が あたしから分離するわけないよね」という使い方がされていました。
バージョン4.4ではプクラスの複製体C141がプクリポから生体エネルギーを抽出(分離)していましたが、
錬金術が中世ヨーロッパに伝播する以前のイスラム世界では花から芳香水を抽出するのに、のちの錬金術で使う蒸留器を使っていたそうです。
「花」の民プクリポから精気を抽出する装置の置かれたアルウェーンの町の中央塔は、まるで錬金術で用いられるフラスコのような形をしていました。
(「分離」の詳細は日誌「ルティアナの匂いと錬金術の『分離』について考える(1)(2)」にあります。)
また、天星郷の天使サワディエルの言っていた、
「俺は混ぜるのは 得意」
「薬に加工」
「神気の結晶を 俺の超技術で 薬液と調合して 飲み薬にした」
は、「凝固」「結合」に相当するようですが、
しかしサワディエルは錬金術師ではなく薬師で、「俺は混ぜるのは 得意なんだが 抽出のほうは からっきしなんだよ」というセリフから、
このゲームの薬学でも「結合」と「分離」があり、錬金術と作業プロセスにかぶるところがあるみたいです。
ここで「食べる」の話に戻ります。
ポルテのグルめぐりでゼニアスの話を進めてからポルテの家にあるアルバムを見ると、
この箇所のボイス付きの旅の振り返りが視聴できます。
ポルテ
「虫歯になって
キャベツの丸かじりが できなくなったら
ラキ 困るでしょ?」
ラキ
「困る。
……歯みがきしてくる!」
今までラキはポルテが旅先で調達してきたおみやげの料理を食べていたのが、
ここで唐突にキャベツの「丸かじり」という、料理ではないものが出てきます。
ラキ
「スイカは切らずに 丸ごと 食べるのがいい。」
ポルテ
「丸ごとって……皮ごと 食べるってこと?
それは あたしも 理解できないかな……。」
今度はスイカを「丸ごと」食べると言います。
球体のものを狼が口にするというと、現実世界の錬金術で〝アンチモン(狼)がいわゆる賢者の石(錬金素材)をむさぼり食らうことで、賢者の石は再誕される〟ことの暗示のように解釈することもできると思います。
錬金術の狼は非常に有名な例で、八坂書房の『逃げるアタランタ』p.218-225のエンブレム24によると、
狼は王を食べて殺害してしまうものの、その後王は不死なる者として再誕するそうです。
ちなみに狼ではないのですが、錬金術書『哲学者の薔薇園』の獅子が太陽を飲み込む絵も有名で、この「食べる」行為が「溶解」の象徴になっているそうです。
後世にこの絵に着色されたものが出回りますが、緑の獅子が赤い太陽を飲み込んでいて、
緑髪ポルテと赤髪ポルテや、女神の肩ひもの留め具(ルティアナは緑、ゼネシアは赤)などを思い起こさせますが、確証はありません。
錬金術の「食べる」について考える(2)へ続きます。