(以下バージョン7.6(前期)までのネタバレがあります。)
バージョン7.6の創失の世界でフードの創失者は、
「……名を得たものは その瞬間から
新たな生を 歩みはじめるのだと
創失し果ててから 初めて 私は知った。」
と主人公に告げるのですが、果たして「初めて」というのは本当なのでしょうか。
バージョン7.2の冒頭。ラキが主神グランゼニスに創生された直後の回想(夢)が見られますが、
幼き女神ゼネシアはこう話していました。
「ルティアナ。あなたが
この子に 名前を つけてあげたら?」
なぜか自身で名付けを行わず、妹に名付けをまかせてしまっていました。
さらに7.6のフードの創失者は
「あれ(緑髪ポルテ)を 目覚めさせよ。
ふさわしき名を お前が 与えてやるがいい。」
とここでも名付けを他人まかせにしてしまいます。
理由は書かれていないものの、名付けを他人に譲る描写が2度出ていて、
前者はラキの夢でゲーム中の主人公はその内容を聞かされていなく、知っているのは画面の前にいる主人公の中の人になります。
そして夢とは、意識から切り捨てられ無意識に置かれたものを、睡眠中の夢自我がかいまみる現象で、
ポルテがラキに食事だけでなく睡眠も教えたことで、プレイヤーはラキの見た夢から、無意識に潜むラキの遠い日の出来事を知ることができるようになりました。
深層心理学では、夢は現実世界で起きている困難を解決するヒントとして見られることもあるそうですが、
〝「ラキ」と名付けたのは幼き女神ルティアナであって、女神ゼネシアではなかった〟という夢は、バージョン7でたびたび出てくる名付けに関係はあるのでしょうか。
ところで、バージョン7.4の古・誓約の園で主神グランゼニスはこう宣言していました。
「全てを侵し 喰らい 忘却せしめる
呪詛の中の呪詛 虚無の中の虚無。
その忌まわしき名を 『創失』と定めん!」
「名を(中略)定めん」と言っていて、名付けをするのも神の仕事のようです。
幼い頃から父の仕事を見ていたであろうゼネシアが女神であるにも関わらず名付けを放棄したのはどういう理由によるんでしょうか。
ゼネシアが間違いなく名付けをしたのは「ポルるん」で、
確実ではないものの可能性は残るのが「ゼナベスティア」ですが、こちらはゲーム中で名付けの描写がなかったので確定はできないです。
ちなみに、参照されているかは不明ですが、『旧約聖書』の最初にある「創世記」冒頭でも名付けについて書かれています。
「神は光を昼と【名づけ】、やみを夜と【名づけ】られた。夕となり、また朝となった。第一日である。
(中略)神はそのおおぞらを天と【名づけ】られた。夕となり、また朝となった。第二日である。
(中略)神はそのかわいた地を陸と【名づけ】、水の集まった所を海と【名づけ】られた。(中略)夕となり、また朝となった。第三日である。」
旧約聖書の神は、人の役に立つために名付けをしておいたのか、それとも何かしらの名前がないと創世する際に不便さを感じるから名付けたのか。
主神グランゼニスは、「創失」という表現に対し、「全てを侵し 喰らい 忘却せしめる」という内容を定義づけしていて、
事後処理にあたる守護天使たちに言葉を遺しておきたかったんでしょうか。
言葉の「分節化」について考える(2)へ続きます。