(以下バージョン7.6(前期)までのネタバレがあります。)
創失の世界とはどういう世界なのでしょうか。
バージョン7.6(前期)までに出てきた情報を拾いながら考えてみたいと思います。
主人公は執行者ザジザディリから創失の呪いを受けましたが、
創生のチカラが奪われると肉体が維持できなくなり、
落下するようなアニメーションがしばらく続くと、創失の世界へ到着します。
重要なのは、画面の前のプレイヤーが操作している主人公は、創失しても、創失前の記憶や意志を保持し続けていて、
なおかつ、意志はこのゲームでは魂に宿っているようなので、
どうも「創失=死」ではないようです。
肉体を失った魂が一時的に創失の世界に保管されている感じでしょうか。
創失のチカラが失われると体が維持できなくなるものの、意志(魂)はすぐには消え切らずに創失の世界に移動され、
創生のチカラが与えられると、元の肉体に魂を戻したものがそのまま復元できるので、死んだわけではないようです。
7.6終盤で創絶の崩界竜がナドラガンド・魔界・アストルティアを丸ごと創失させてしまいましたが、
あくまで創失させたのであり、焼き討ちなどで皆殺しにしたわけではないので、
創失の世界に保管された魂に対し、王笏が有する主神グランゼニスの創生のチカラを与えれば復元可能のはずです。
問題が残るとすると、女神ゼネシアは、現在の時空間に、やや過去のアストルティアを創生したことです。
本来ならアンルシアら主人公の友たちは命を落としてしまっています。
こうした時間のズレを伴う再創生は倫理的に正しいのか、そして誰がその善悪を判断できるのか。
では、創失の世界とは何であり、どこにあるのでしょうか。
肉体を失った主人公が急降下しているという感覚を抱きながら到着する創失の世界とはどういう場所なのか。
まだバージョン7.6(後期)のクエストや拾遺譚が残っているので、現時点での妄想混じりの推測になります。
急降下のようなアニメーションが発生する理由は、肉体が失われたからのようです。
創生のチカラは現実世界の錬金術などで出てくる「第五元素」によく似ています。
もし錬金術で対象から第五元素が抽出されるとどうなるか。
世界の原初の原材料である「第一質料」に戻ったという可能性はあります。
そして、第一質料と化した魂が急降下していく理由はどうなっていて、その先はどこなのか。
錬金術視点では、以前の日誌にも出てきた「溶解」(肉体を霊魂にしてしまうこと)を行うと、
その対象物は蒸留器やフラスコなどの容器の中で底に落ちて沈殿し、黒いものと化すそうです。
この「黒色化」のことを「ニグレド」といいます。
日誌「ムニエカの町の謎(2)」で触れた、嘆きのロベールが焼身自殺する際に炉に身を投じ、
恐らく黒こげになった後に白い灰と化したところと少し似ています。
重要そうな情報としては、船のようなものに乗った緑髪のポルテと出会うと
「創失の世界をさまよう 悲しき魂たち」
と、この創失の世界には魂がさまよっていると説明があり、黒い存在が魂(意志)を表しているようです。
アルファベータブックスの『錬金術のイメージ・シンボル事典』p.288によると、「船」はニグレドと溶解の工程における、錬金の対象となる物質を入れる容器の比喩的呼称とあります。
「船」という比喩になる理由は、溶解のプロセスでは四大元素のなかでは水が優位に立つためだそうです。
主人公ら人型の黒い魂が立っていたのは氷のような地面でしたが、溶解後の水が凝固したという可能性はあるでしょうか。
以前の日誌でバージョン7で直接または間接的に出てきた「喰らい」「溶解」「分離」「凝固」「結合」「反転」「変質(変成)」は錬金術用語であることに触れましたが、
もし創失の呪いで他者から創生のチカラを奪い肉体をなくすことが「溶解」であるなら、
その反対の操作である「凝固」により創失の世界に保管された魂(意志)に創生のチカラを与えて肉体を地上の世界へ戻すことも、錬金術に関係している可能性は一応残るでしょうか。
なお、講談社の『ユング 魂の現実性』p.283で「魂」に関する説明があり、
「魂の内に自分が住んでいる」
「魂とはそこに自分の住んでいる世界のようなもの」
という説もあります。
創失の世界は、錬金術の溶解、集合的無意識、魂の内の存在などが複合したファンタジー的産物という可能性はあるのかどうか。
7.6(後期)や拾遺譚で続きの話はあるのか期待されます。
創失の世界について考える(2)へ続きます。