私が感じた第二のブレイクスルーは、初めてスマートフォンに触れたときです。年齢的には22歳か23歳の頃で、当時iPhone 3GSが出たばかりでした。会社の同僚が休憩室で触っているのを見て、「それ何?」と尋ね、少し触らせてもらいました。そのとき、パソコンで行っていたウェブブラウザでの検索が、あの小さな画面でできることを知り、ものすごい衝撃を受けました。
当時、私は寮に住んでいましたが、そこにはインターネット環境がなく、テレビも見ない生活をしていたため、情報源はガラケーだけでした。約2年間、ほとんど外の情報に触れていなかったため、スマートフォン、特にiPhoneの存在を知らなかったのです。そんな中で、同僚が触っているのを見て、その日のうちにすぐにガラケーからiPhoneに買い替えたことを今でも鮮明に覚えています。
何が衝撃的だったかというと、外にいながら、どこにいても自分の知りたい情報にアクセスできるという点です。その便利さには本当に驚かされました。例えば、初めてiPhoneを持って一人で東京に行ったときには、電車の乗り方や道案内のアプリがあったおかげで、迷うことなく移動することができました。そのときも、スマートフォンの便利さを改めて実感しました。
当時、SNSが広がり始めていて、日本ではミクシィやTwitter、GREEなどが流行していましたが、スマートフォンを使っている人はまだ少数派でした。スマホが普及し始めたのは、その3~4年後くらいだったと思います。それまでの間、周りの人たちがまだガラケーを使っているのを見て、「こんな便利なものがあるのに、なぜ使わないんだろう?」と不思議に思っていたのを覚えています。
スマートフォンがもたらした最大の革新は、パソコンを使わない層でもインターネットに触れられる時代が訪れたことだと感じています。たとえば、私の親はパソコンには触れませんが、今ではスマホでYouTubeを見て、ひろゆきなどの名前も知っています。スマートフォンが登場した時代は、私の人生の中でも特に大きな衝撃を受けた出来事でした。
当時のインターネットは、まだどこかマイナーでアングラな雰囲気が色濃く残っていた時代でした。今では日本ではYouTubeが一強となっていますが、当時はニコニコ生放送が強く、日本のインターネット世界では予想もつかないようなハチャメチャな出来事が日々起こっており、非常に楽しかったのを覚えています。
例えば、ディズニーランドでの生配信は禁止されているにもかかわらず、リュックサックにノートパソコンを仕込んで10人ほどが一斉に生配信を開始するというイベントがありました。配信中にキャストの方から注意され、次々に配信が終了していくのですが、「誰が最後まで見つからずに配信を続けられるか」というゲーム感覚でやっていました。今なら絶対に許されないような「悪ふざけ」にも近い遊びが、当時のインターネットには存在していました。
その時代のインターネットは、今のような規制やルールが徹底されていなかった分、独特の自由さがあり、現在のインターネットと比べると、どこか刺激的でバランスを欠いた面白さがありました。それに比べると、今のインターネットは多くの制約が増えた分、少し退屈に感じることもあります。
また、当時の思い出として、「ファイナルファンタジーXI」を通じて知り合った人同士が現実で結婚するといったこともありましたが、当時は「インターネットで知り合って結婚する」ことを人に話すのは少し恥ずかしい時代でもありました。今ではマッチングアプリが普及し、ネットでの出会いに対する抵抗感はほとんどなくなりましたが、当時はまだそうした空気が残っていたのです。