これは【中編】です。
この前の【前編】を読んでから読んでね。
「では改めて。お客様どうなさいました?」
「クレーム言いに来たんだよクレーム!弁当に箸が入ってなかったぞ!」
「なるほど、申し訳ありませんでした」
「ちっ、ふざけんじゃねえよ」
深々と頭を下げる俺と、イライラした様子を見せる店長。
「おいどうしてくれんだよ!弁当冷めちゃっただろ」「本当に申し訳ありませんでした」
「謝ってすむ問題じゃないだろ?なぁ、誠意ってもんが必要じゃねえか?」
卑しい笑みを浮かべながらこちらをじっと見つめてくる。その視線の意図を即座に理解した俺はレジから1枚の折りたたまれた紙を取り出し、
「お客様、コレをどうぞ。お詫びの気持ちです」
そっと囁きながら店長に手渡した。
「いやぁ何か催促したみたいでわる生理用品(紙製)じゃねえか!!頭部のデリケートゾーンにでも使えと!?残念ながら効果ねえよ!」
「さようですか」
「さようだよ!デリケートってそういう意味じゃねえから!っつーか何でレジに入ってんの!?」
「ポイントカードはお持ちでしょうか?」
「ああもうどうしてこのタイミングで!?確かに確認しろとは言ったけど空気を読めよ!質問してるだろ!」
「あっ、でも毛根はキャッシュバックされませんよ」「知ってるよ!!チクショウ自由だなお前!」
そして店長はガックリと膝をつく。
初めてだよこんなの…などと呟きながら生理用品(紙製)を握りしめている。面白いなこの人。
しかし一応は雇用主だ。少しは配慮しておくべきか。
「大丈夫ですか?」
「店長胃がメルトダウンしそうだからちょっと待ってね…休憩行ってきていいよ…」
レジの奥を指差しながら店長が言った。
ちょっと見てみたい…と10秒くらい迷ったが変な方向にハッスルされても困るなと思い直し、素直に休憩室へ向かうのであった。
十五分の休憩から帰ってくると、復活した店長ごレジ前ではしゃぎ回っていた。
…なんだろうこの残念な生き物は。無駄に素早い動きを繰り返してキモい。反復横跳びなんて久しぶりに見た。そして撒き散らされる加齢臭がすごい。生きる気力がガンガン吸い取られていく。
これが現代社会の闇…か…。
「よっしゃバッチこーい!」
「どうしたんですか店長」
「ほら早く続きやるぞ続き」
「ああはい、クレーム処理の練習ですね」
無闇にやる気を溢れさせる店長の言葉に俺は頷いた。次こそは失敗するわけにはいかない!そんな決意を胸に、レジを挟んで店長と向かい合う。
ガラの悪いクレーマーになりきった店長の発言を皮切りに、練習が再会された。
【後編】へ続く!