~前回までのあらすじ~
ウェディ族の秘密の菜園からスイカが盗まれた。
犯人の足取りを追って訪れた先でスイカ販売を行なっている男と対峙する…!
「ようこそ、商会『ネオ・アベチ』へ。
本日はどういったご用件で?」
「ここに並んでいるスイカは我々の畑から盗まれた可能性がある!ここのオーナーと言ったな!?どういう事か説明願おう!」
「なるほど、私に窃盗の疑いがかけられていると言う事だな。だが、ここにある物は東の商人から買い取ったもの。と、言う事は私も被害者だと言う事だ。」
「なっ…!しらばっくれると言うのか!?」
「言いがかりはよしてもらおう。ふむ…だが気に食わんな、、。私に盗品を掴ませるとは…。
いいだろう、犯人探しには協力してやろう。
土筆、いるな?」
「はい、ここに」
どこからとも無く現れた少女にオーナーは話しかける。
「こちらの方々に協力してやれ。手段は任せる」
「はっ」
そう言うと、土筆と呼ばれた少女は再び消えてしまった。
「土筆を貴殿等に同行させよう。可愛い顔をしているが、あれでウチの中でも随一の狂犬だ。」
「・・・」
「これらは先程言ったように東の商人から買い付けた物だ。胡散臭い奴で詳しくは知らん。
商人といえば、魔法の迷宮にはなかなかやり手の商人がいるらしいな?まずはそいつに話を聞いてみるのはどうだ?」
そこで捜査隊と、土筆と呼ばれる少女は魔法の迷宮でトルネコに話を聞きに行った。
「そこにいるのは大商人トルネコか!?
あなたに伺いたいことが…」
シャッ
「…動くな」
「今私の手中には貴様の心臓がある。
大人しく東の商人について知っている事を言え…」
「はわわわわ!?ひ、東の商人ですか!?
私には何の事だか…あ!東の海のゼルメア遺跡を根城にしてる商人がいると聞いた事が…ヴっ…!」
「土筆殿!?」
「ゼルメアに行くぞ…」
トルネコの亡骸を埋葬した捜査隊はゼルメアに向かった。
そこでも土筆は捜査隊を驚かせる行動に出た。
遺跡の入り口に着くなり突然現れた彼女は捜査隊を置き去りにして単身ゼルメアに飛び込んで行った!
そして捜査隊が追いついた時には全てが終わっていた…。
「コレが主犯格『だった』ヤツだ。
貴様らの畑、随分と警備がなっていないようだな」
「・・・」
「ヌルい奴らだ。私は行く、主様に報告するんでな」
こうして秘密の園に起きた事件は解決を迎えた。
目下対策しなければいけないこととして、畑の警備を増強する必要が出てきたが、人手の足りないウェディ達には難しかった。
が、これをネオ・アベチ商会が買ってでてくれた事で解決した。
商会から派遣された警備に土筆がいた事に一同戸惑いを見せたが、仕事は完璧だった。
(本人は苦虫を潰したような顔をしていたが…)
さらに、正式な販路としてアベチ商会を得た。
畑の運営収入源として、またこれまで秘密の園と関係の薄かったウェディを救えるようになった事は、暁光と言えよう。
しかし、これまで他種族と協力関係を築いてきた秘密の園のメンバーにとって、悪意を持って近づいてくる者がいる、と改めて考える機会となった。。。
「フッ、、、まさかもう見つかるとは、な…。
まぁ奴との取引も潮時ではあったが、スイカ、か。 好事家にはちょうどいいだろう。
最期にいい手土産を残して逝ったものだ…。」
第3玉 fin