ここに来てずいぶん経ちましたか。
今ではコンシェルジュとして倍以上歳の離れたご主人のお世話も日常になってきましたね。
バトルマスターとして一線で戦ってた日々が懐かしく感じます。
当時の私は誰よりも強くなるためと、いい装備、いい道具を得るためにお金を稼ごうと寝る間も惜しんで必死に狩りをしていた。
いかに早く強いモンスターを倒して功績を上げるか。
そして
いかにいい武器、いかにいい装備を用意するか、周りの調和を乱さぬよう、周りに尊敬の目を向けられるようにと、あけくれていた日々、でも・・・。
もうイヤだ。
突如そう思った。
ずっとずっと、マラソンのトップ集団に居続けなければ、そこからこぼれ落ちるのは怖い。
怖い怖い怖い。
少しづつ大きくなる不安を抱えていたものが、ついに爆発したのだと思う。
ずっと走り続ける生活を送っていたけど、ひょんなことから
ある日突然、その緊張の糸がぷっつりと切れた。
私は逃げるように剣を折った。
そして、全てのしがらみを断ち切ろうと風体を変え、戦いから無縁の世界に行こうとコンシェルジュ協会に潜り込み、素性がばれることがないまま運良くとある雇い主に雇われることになった。
「どこでもどあー!どうこれ?これで爆笑間違いナシじゃあ!・・・あれ?表情がかったいなぁ、ほらほら笑って!」
『・・・。』
コンシェルジュとして派遣されたその日、いきなり全身ピンクのじいさんが初対面の他人に向かって下らない小ネタを披露する。
正直アタマがおかしいかと思ったけど、いい隠れ蓑になると思った。
私は正規な手段でこの職についていないのだから。
強くなろう、いい装備を整えよう、そういったことに興味の対象が皆無の主人に見えたけど、あの張り詰めた時間を忘れられるならそれでいいと思った。
「あれから結構経つのぅ・・・。」
たまに寂しそうな表情をする主人。
深くは聞かないようにしている。
聞いたところでどうしようもないから。
私は私の仕事を全うするだけ。お互いいい距離を保っていると思う。
あれからずいぶん経ちましたが、最初の印象通り、やはりこの人は強くなろうとか、次々出現する凶悪なモンスターを狩って功績を上げようとか、そういったことには興味がないように見えます。
はた目にはただただハウジングとピンク好きが高じてピンクローズを育てることに夢中な老人。
冒険者としてはどうかとは思いますが、これはこれでと今の生活には満足している私がいます。
なんだかんだいっても、私には合ってるんでしょうね。
「・・・という設定をでじまさんにつけてみたんだけど。」
『これになる前は確かにバトマスでしたけど、中二病設定とかやめてくれませんかね。』
・・・。
まぁ、だいたい合ってますけどね、フフ。
‐あとがき‐
ひっさしぶりの長文になりました、お疲れさまでした。
この世界での『ひいじい』の設定は『75歳のアクティブなおじいちゃん』です。
そして、でじまさんは32歳という設定で話をすすめております。
まーまーキャラ設定とか痛い限りですがRPGってのはざっくり言うと
設定をつけたキャラになりきる。
そういった意味合いもあります。
リアルでは演じきれない、そういった部分を出してもいいのではないか?そんなことを思っております。
そして
この話を書くきっかけになったのが、リアフレのお話から。
「いい装備、いい武器を揃えるために血まなこで金策やりつつレベカンなんて辛いだけ。所詮ゲームでしょ?のんびりやりたいよ。」
私も最近のスタンスはそうです。
モグラ以降、倒せてない上に、手すらつけてません。
作り込まれたフィールドマップを眺めつつ、ぶらぶらしてるだけです。
そういう楽しみ方も悪くないし、それはそれで楽しいよ、これでいいんじゃないかと思ってます。