私の名前は 「 喪黒福造 」
人呼んで 「 笑ゥせぇるすまん 」
ただのセールスマンではございません
私のあつかう品物は 「 ココロ 」
人間のココロ でございます
近頃は 老いも若きも 男も女も
ココロの淋しい人ばかり
そんな皆様の 「 ココロのスキマ 」 をお埋めします
いいえ お金は一切いただきません
お客様に満足していただければ
それが何よりの報酬でございます
さて 今日のお客様は・・・・・・
ホーーーーーーーーーッホッホッホッホッホッ
【 比具間 梨音 (ひぐま りおん) 26歳 OL 】
比具間 「ハァ・・・ 私の周りの男ってどうしてどいつもこいつも軟弱なの?
どこかに頼りがいのある逞しい男はいないのかしら・・・・・・」
? 「お悩みのようですね、お嬢さん」
比具間 「わっ!? アンタ、誰っ?」
? 「申し遅れました。私、こういう者です」
比具間 「名刺? ・・・『 ココロのスキマ お埋めします 喪黒福造 』・・・ 何? アンタ、カウンセラーか何か? それとも宗教? ツボなら買わないわよ」
喪黒 「いえいえ。お金は頂きません。私は皆様の「ココロのスキマ」を
お埋めするのが仕事なのです。どうやら世の男性に失望しているご様子。よろしければ、貴女にピッタリの殿方をご紹介させていただきます」
比具間 「宗教じゃなくて結婚相談所の職員? まあいいわ、どうせヒマだし。それで、私にピッタリの男ってのはどこにいるの?」
喪黒 「ホッホッホッ。それでは私についてきて下さい」
喪黒 「ここです」
比具間 「何ここ、倉庫? 真っ暗じゃない! どこに理想の男がいるってのよ!」
喪黒 「ご心配なく。今、明かりを点けますから・・・」
カチッ
比具間 「うわっ!? ・・・え・・・石像・・・? でも、逞しい大胸筋、鍛え上げられた広背筋、鋼のような胸鎖乳突筋・・・・・・・・・
ああ、なんてステキ・・・・・・・・・・
これよ! 私が求めていたのはまさにこれなのよっ!!」
喪黒 「お気に召したようですね」
比具間 「ええ! ええ!! ありがとう喪黒さん! まさに理想の男性だわっ!」
喪黒 「それは何よりでした。ここの鍵は開放して起きますので、いつでもいらして下さって結構です。
・・・・・・ですが、ひとつだけ 『 約束 』 して下さい。あまり夢中になって、本来の生活を疎かにしないと・・・
よろしいですね?」
比具間 「わかってるわっ! ああ・・・それにしてもホントにステキ・・・・・・」
後編へつづく