注意!
【この日誌は妄想ネタ日誌です。広い心でお読み下さい】
【この日誌の登場人物はフィクションです。実在の人物およびゲーム内の同名の冒険者とは一切関係ありません】
よろしいですか?
アストルティア・ハッピーくじ。
それは年に2回、夏と年末に発売される宝くじである。アストルティアに住む全ての冒険者が一攫千金を夢みて購入するが莫大な富を手にするのはごくわずかな選ばれし者だけであった。
そしてまた、新たな億万長者がここに誕生したのである…
担当者トラペティナ
「…確認いたしました。冒険者のロトアタール様でいらっしゃいますね。私、今回お客様を担当させていただきますトラペティナと申します。このたびはハッピーくじ特等ご当選、まことにおめでとうございます」
ロトアタール
「はあ、その、ありがとうございます…」
トラペティナ
「遠路はるばるお越し下さいまして感謝いたします。当選金の受け渡し手続きはアストルティア・ゴールド銀行の本店で行うのが規則になっておりまして、ご不便をお掛けしますが何卒ご理解下さいませ」
ロトアタール
「それにしても、スゴイ部屋ですね」
トラペティナ
「当行が誇る特別応接室でございます。
さて、手続きの前に簡単なレクチャーを受けていただきますね」
ロトアタール
「レクチャー?」
トラペティナ
「これも規則ですのでご了承下さい。
お客様はこのたびハッピーくじの特等に当選なさいました。度重なるキャリーオーバーの結果その額はなんと20億ゴールド!これほどの高額当選は当行の長い歴史の中でも初めてです。ですが身の丈を超える大金を突然手に入れるということは必ずしも幸福なことばかりではありません。そこでお客様には 『億万長者の心得』 を学んでいただきます」
ロトアタール
「はあ」
トラペティナ
「まず、お客様は現在冒険者という職業についてらっしゃいますがいきなりその仕事を辞めてはいけません。今までの暮らしぶりを急に変えるのは周囲の不審を招くことになります。今まで通りの生活を続けるようにして下さい」
ロトアタール
「ははぁ」
トラペティナ
「高価な装備品をやたらと購入するのもダメです。身につける物が豪華になると他者の無用な嫉妬の対象になりかねません」
ロトアタール
「はははぁ…」
トラペティナ
「マイタウンに引っ越すのもなしです。思いがけず大金を手にした冒険者が最初にやりがちなのがマイタウン購入ですが、広すぎる敷地を持てあますのがオチですよ」
ロトアタール
「オチって… トラペティナさん、なんだか言葉遣いが悪くなってきてません?」
トラペティナ
「気のせいです。次に対人関係についてですが、大金を手に入れたという貴方の噂をどこかから聞きつけてフレンド申請をする冒険者が大量に増えるでしょう。ですがそういう人は十中八九、貴方のお金が目当てです。簡単に承認してはいけませんよ」
ロトアタール
「そうとは限らないんじゃ…」
トラペティナ
「甘いですよお客様!特にエルフの女性は信用してはいけません!見た目の可愛いエル子は間違いなくエルおじなんです!ああもう、あいつらのせいで私が一体どれほどの目に…!」
ロトアタール
「トラペティナさん!? エルフの女性に何か恨みでもあるんですか!? っていうか『エルおじ』ってなんです!?」
トラペティナ
「…すみません、少々取り乱してしまいました。
続けますね。フレンド申請が増えるのと同様に貴方をチームやルームに勧誘する輩も出てくるでしょうが、そういった連中も貴方のお金が目的です。決して心を許してはいけません」
ロトアタール
「なんか対人関係で嫌なことでもあったんですか」
トラペティナ
「そして最も基本的なことです。ハッピーくじが当選したことをお伝えするのは信頼できるごく限られた方だけにして下さい。よろしいですね」
ロトアタール
「ハッピーくじに当たるって色々と面倒なんですね」
トラペティナ
「大変なのはまだまだこれからですよ。貴方の大金を狙って有象無象の輩がすり寄ってくるのは明白です」
ロトアタール
「やっぱり言い方がキツくなってません?」
トラペティナ
「ですがご安心下さい。当行には優秀なファイナンシャルプランナーや弁護士、公認会計士が揃っております。お客様の資産の運用に関しては当行にお任せ下されば何の心配もありません」
ロトアタール
「運用って、具体的にはどんな?」
トラペティナ
「実はレンダーシア大陸のワルド水源にウォータースライダーを作る計画があるのですが、資金不足のためにもう8年も頓挫したままなのです。ここは是非お客様に支援していただきたく…」
ロトアタール
「絶対に嫌です」
【 億万長者の心得 完 】