※注意
【この日誌にはVer.4辺りまでのストーリー及び様々なサブクエストのネタバレを含んでいます】
【この日誌は妄想二次創作です。広い心でお読み下さい】
【この日誌にはメタフィクション的な視点が含まれています】
よろしいですか?
私の名前はテオフィロス。アストルティアでは少しは名の知られた小説家だ。ファンの間ではテオという愛称で親しまれている。先頃 私の新作 「アグラニ町長殺人事件」のプロットを弟子に見せたところ生意気にも 「アグラニの町に町長はいませんよ」などとぬかしおった。この私に口答えするとは身の程知らずも甚だしい。だが、言われてみるとたしかにアグラニの町長の名前を思い出せない。これはなにやら陰謀の匂いがする! そう直感した私は弟子を伴い捜査のためアグラニの町を訪れることにしたのだった…
弟子
「先生、何をのんきにベッドで横になっているんですか。起きて下さい。町で集めてきた情報を整理しますよ」
テオ
「せっかく宿屋に戻ってきたんだぞ。少しくらい休んでもいいだろう。なんだってこの町は上と下に分かれているんだ、ややこしいし疲れるし」
弟子
「先生は年がら年中休んでいるんですからこんな時くらい働いて下さい」
テオ
「お前は鬼か!」
弟子
「いいからさっさと始めますよ。ええと… 町の住民に聞き込みをしたところ、このアグラニの町には町長はいないけど代わりに町の代表者ともいえる三人の人物がいるということでしたね」
テオ
「あ~ そういえばそんなことを言ってたな。なんて名前だっけ?」
弟子
「はぁ~… 一人目は教会のホルタ神父。人間であるにもかかわらずドワーフばかりの住民たちから慕われていた名士だそうですね。誠実な人柄だけでなく、トラブルを仲裁する柔軟さを持ち合わせその信頼は厚かったとか」
テオ
「トラブルの仲裁って、例えばどんな?」
弟子
「この町の工芸師が作った宝石細工を旅の商人が安値で買いたたこうとしたのでホルタ神父が知り合いの富豪に目利きをお願いしたところ、商人の言う値段よりはるかに価値があるという鑑定結果が出て両者とも納得したそうですよ」
テオ
「フン、誠実な上に有能な神父だと?気に食わんな。どうせ裏で私腹を肥やしていたに違いない」
弟子
「そういう器の小さいことを言っているから先生はハゲるんですよ」
テオ
「ハゲてないっ! そういうことはもっと詩情豊かに 『 枯れ木つらなる冬山の如く風情がある頭 』 とか表現しろ!」
弟子
「そのホルタ神父なんですが」
テオ
「無視っ!?」
弟子
「二年前に流行り病で亡くなったそうです」
テオ
「…なに?
まったく、良いヤツほど早く死ぬとはよく言ったもんだな」
弟子
「さっき私腹を肥やしてるに違いないとか言ってませんでした?」
テオ
「うるさいぞ! それで、残りの二人というのは誰と誰なんだ?」
弟子
「二人目は賢者ブロッゲン。アクロニア鉱山の中にある守り人の部屋を研究室代わりにして寝泊まりしているそうですよ。ただ、賢者という立場上あちこちに出かけることが多く町にいることはほとんどないとの話です」
テオ
「賢者ブロッゲン… 聞いたことがあるな。たしか賢者の集団である 『叡智の冠』 の一人だったか?」
弟子
「よく知ってますね。どうしたんです。熱でもあるんですか?」
テオ
「お前、私をバカにしてるだろ」
弟子
「とんでもない。心から尊敬してますよ」
テオ
「…まあいい。最後の一人は?」
弟子
「鉱山で働く採掘士たちをまとめるホッツィ親方という人です。熟練の鉱夫で労働者たちにも信頼されています。しかし、最近は新人の採掘士が増えて彼の言うことを聞かない者も多いんだとか」
テオ
「ホルタ神父が生きていた頃はその三人が町を統治していたってことだな」
弟子
「そうです。ご存知のようにアグラニの町は上層と下層に分かれていてホルタ神父は上層の町を、ホッツィ親方が下層の町を代表してそれぞれの利害関係や意見を調整していたようです。賢者ブロッゲンは相談役のような立場だったみたいですね」
テオ
「それが今ではホッツィ親方がほぼ一人で町長代理を務めているわけか。どうもひっかかるな」
弟子
「ホッツィ親方が権力を独占しているとでも言うんですか?」
テオ
「そうじゃない。上層と下層に分かれているとはいえ、そもそも町の代表者が複数いるなんてマトモじゃない。いつからそんな歪な状態なんだ?」
弟子
「いつからって…」
テオ
「この町の歴史を調べてみる必要があるな」
アグラニ町長殺人事件 その3に続く
…かも?