テオフィロスの冒険日誌

※注意
【この日誌にはＶｅｒ.４辺りまでのストーリー及び様々なサブクエストのネタバレを含んでいます】
【この日誌は妄想二次創作です。広い心でお読み下さい】
【この日誌にはメタフィクション的な視点が含まれています】



よろしいですか？



　私の名前はテオフィロス。アストルティアでは少しは名の知られた小説家だ。ファンの間ではテオという愛称で親しまれている。
「アグラニの町に町長はいない」
その理由を探るため弟子を伴い調査を進めた私はアグラニの町とアクロニア鉱山、岳都ガタラと採掘ギルド、ドルワーム王国と太陽の石、それらが複雑に絡みあった事情を知る。
調査を終えた私は我が家へと帰途についたのであった…



テオ
「どっこいしょっと…　はぁ～　やっぱり自分の家は落ち着くなぁ」

弟子
「帰ってきてそうそう　埃っぽい服のままソファで横になるのはやめて下さい」

テオ
「帰ってきてそうそう　うるさいやつだな。それより喉が乾いた。紅茶を淹れてくれ」

弟子
「ありませんよ」

テオ
「プクレの茶葉が　まだ残ってただろう？」

弟子
「今回の旅費を捻出するためにティーセット一式と一緒に質屋に入れました」

テオ
「な…！？　お前っ！　紅茶は私のインスピレーションの源泉なんだぞっ！　スランプになったらどうするつもりだっ！」

弟子
「万年スランプの人が何言ってるんですか。今回の調査旅行だって役に立つとは思えませんし。まぁ、チャウチョと前ガタラ町長の癒着の話は興味深かったですけど」

テオ
「お前、あの話を本気で信じてるのか？」

弟子
「あれだけ証言がそろって状況証拠もあるんですよ。疑問の余地がないじゃないですか」

テオ
「甘いやつだなぁ…　証言といってもほとんどがマスター・ホッチャのものだろう」

弟子
「マスター・ホッチャが嘘をついてるとでも？」

テオ
「考えてもみろ、チャウチョと前ガタラ町長がいなくなって一番得をしたのは誰だ？

マスター・ホッチャとホッツィ親方だ。二人は現時点において岳都ガタラとアグラニの町それぞれにおける最大の権力者と言ってもいい。これは偶然か？」

弟子
「まさか…　チャウチョはマスター・ホッチャに嵌められたって言うんですか？」

テオ
「マスター・ホッチャは最初からチャウチョとガタラ町長の癒着を知っていたんだよ。だが、あえてチャウチョを泳がせてボロが出るのを待った。チャウチョの不正の証拠は弟であるホッツィ親方の協力があれば簡単に手に入る。あとはその証拠をチャウチョに突きつけるタイミングの問題だ。そんな時、都合良くガタラ町長が失脚した。すごすごと戻ってきたチャウチョを横領の罪で追放するのはたやすい。こうしてマスター・ホッチャはガタラで並ぶ者のない力を手に入れたわけだ。こうなるとチャウチョが流行り病で死んだってのも疑わしい。もしかすると殺されたのかもしれないな」

弟子
「…面白い推理ですけど、矛盾だらけですよ。そもそもホッツィ親方と兄弟だというのをあきらかにしたのはマスター・ホッチャ自身ですし。後ろ暗いことがあればわざわざそんなこと言いません。それにホッツィ親方だってチャウチョがいなくなってもホルタ神父と賢者ブロッゲンがいるんですから、権力を独占するなんて無理ですよ」

テオ
「あいかわらず面白みがないやつだなぁ。言っただろう、事実をありのまま書いてもつまらんだけだと。物語は多少のウソとご都合主義があった方が面白くなるんだよ」

弟子
「物語って、今回の調査で知ったことを小説に書くつもりですか？」

テオ
「そうだ！　タイトルは名付けて　【　アグラニ町長殺人事件　】　あらため　【　アグラニのチャウチョ殺害事件　】。　どうだ、なかなか面白そうだろう？」

弟子
「……………ダジャレじゃないですか」

テオ
「これは傑作になるぞ！　創作意欲が溢れているうちに執筆を…

…

……

………おい、私のペンとインクと原稿用紙はどうした？」



弟子
「旅費の足しに質屋に入れました。ガタラで食べたブタまんの代金くらいにはなりましたよ」

テオ
「お前っ！？　小説家がペンもインクも無くてどうやって執筆するんだっ！？」

弟子
「ダイイングメッセージは自分の血で書くのがお約束だそうです」

テオ
「勝手に遺作にするんじゃないっ！

…ああ、めまいが。旅の疲れもあるし今日はもう休むぞ」

弟子
「おやすみなさい。ゆっくり休んで下さいね。

…さてと、プクレッドハニーティーでも飲もうかな。ティーセットどこにしまったっけ？」
 



【　アグラニ町長殺人事件　　　完　　　　】