※ 注意!
【この日誌にはVer.3クリアまでの本編ストーリー、および様々なクエストに関するネタバレが含まれています】
※ 特に要注意!!
【この日誌には 「 破界篇クエスト 」 の 『 重大なネタバレ 』 が含まれています】
よろしいですか?
クマリス
「うーむ、どれもこれも実に美味そうだ」
魔勇者
「…おい」
クマリス
「さて、どれから食べたものかな」
魔勇者
「おい!」
クマリス
「やはり最初は野菜から行くべきか… いやいや、ガッツリと肉料理もいいな」
魔勇者
「おいっ!!」
クマリス
「なんだ、さっきからうるさいやつだな」
魔勇者
「なんだじゃない! いったいこれは何のマネだ!?」
クマリス
「見てわからんか? ピクニックだ」
魔勇者
「ピ、ピクニックだと…?
ふざけるな! 貴様は私を消滅させるんじゃなかったのか!?」
クマリス
「ああ、あれはウソだ」
魔勇者
「んなっ…!?」
クマリス
「ああでも言わないと貴様は力の限り暴れ回りそうだったんでな。霊体とはいえそれはそれで面倒くさい」
魔勇者
「どこまで不器用なんだ貴様はっ!」
クマリス
「お互い様だ。私は貴様なんだぞ」
魔勇者
「…ふん! それじゃあこの魔法陣はなんなんだ?」
クマリス
「セラフィという娘に教わった霊魂を実体化させる魔法陣だ。 『 具象の霊灰 』 という特殊な灰で描いている。」
魔勇者
「実体化? そういえば肉体の感覚がある…」
クマリス
「言っておくが逆らってもムダだぞ。実体化すると同時に貴様の力も封じているからな」
魔勇者
「わざわざ私を実体化させてどうするつもりだ。腹いせに切り刻むつもりか?」
クマリス
「ほら」
魔勇者
「…なんだ、このパンは?」
クマリス
「肉体がないと弁当が食えないだろう?」
クマリス
「どうだ。クレルの焼いたパンは美味いだろう?」
魔勇者
「ああ」
クマリス
「のどが乾かないか? リゼロッタのくれた紅茶は良い香りがするぞ」
魔勇者
「ああ」
クマリス
「アラハギーロのシャイニーメロンがまた絶品なんだ」
魔勇者
「ああ」
クマリス
「そしてこのカノック料理長のスペシャルランチときたら…」
魔勇者
「そんなにいっぺんに食えるかっ! ちょっとは私の好きに食べさせろ!」
クマリス
「す、すまん」
魔勇者
「まったく…
!? この味は…!」
クマリス
「わかるか? 『 シェフのきまぐれ まりょくの練魂のソテー グランゼドーラ風 暗黒の樹木をそえて 』 略して、スペシャルランチだ。見た目はちょっとアレだがクセになる味だぞ」
魔勇者
「この味、どこかで…
そうだ、テグラムの中にいた時 しおかぜの洞窟で食べた味だ」
クマリス
「悪くないだろう?」
魔勇者
「何がだ」
クマリス
「お前が否定した 『 この世界 』 の料理だよ」
魔勇者
「…」
クマリス
「料理だけじゃない、人も、自然も、何もかも。例えマデサゴーラに創られた偽りの世界でも、そんな世界をいとおしいと思う心は本物だ」
魔勇者
「私はこの世界を憎んでいるんだぞ」
クマリス
「私もだ」
魔勇者
「はぁっ!?」
クマリス
「なぁ魔勇者、『 愛 』 の反対ってなんだか知っているか?」
魔勇者
「知るか! なんだ突然!」
クマリス
「 『無関心』 だよ」
魔勇者
「!」
クマリス
「愛と憎悪っていうのは表裏一体なんだ。相手に関心や執着が無ければどちらも成り立たない。でも無関心は違う。相手がどうなろうと構わない。使い捨ての道具に対する気持ちのようにな」
魔勇者
「私がマデサゴーラに使い捨てられたのは… 私に関心が無かったから…
憎しみの対象ですら無かったというのか…!」
クマリス
「私はこの世界を愛している。護りたいと思っている。その心に偽りはない。だが憎しみの心がまったくないかというと正直、自信がない。私の中にも魔勇者としての記憶がたしかに残っているからだ」
魔勇者
「…」
クマリス
「その魔勇者としての憎しみを、罪を、全てお前に背負わせてしまったのも私だ。もしかしたら、滅びの剣になっていたのは私の方だったかもしれないというのにな。
…本当にすまなかった」
魔勇者
「…」
クマリス
「お前がこの世界を憎む気持ちを否定はしない。その代わり、この世界を愛する気持ちもわずかでもないのか?」
魔勇者
「…私は」
クマリス
「お前の憎しみ、今度は私にも背負わせてくれないか?」
魔勇者
「私はこの世界を………!」
【 憎しみのはてに 最終話 につづく 】