テオフィロスの冒険日誌

※注意！
【この日誌には海賊の職業クエストに関するネタバレが含まれております】
【この日誌は妄想二次創作日誌です。広い心でお読み下さい】



よろしいですか？



　ボロヌス溶岩流。ドワチャッカ大陸の西端に位置する荒れ野に、とある鍛冶職人が工房を構えていた。その工房を訪れる一人の男。名をマドロック。海賊船 「 フリーダム・トルネード号 」 の船長である…



マドロック
「久しぶりだな。オヤジさん」

オヤジ
「客なんざ招いちゃいねぇぞ。帰ぇんな！」






マドロック
「相変わらずだな。そんなんだから弟子の一人もいないんだよ」

オヤジ
「けっ！　ハナから弟子なんざ取る気は無ぇってんだ。そんなくだらねぇ話をしに来たってぇのか？」

マドロック
「銃のメンテナンスを頼みたい。アストルティアに鍛冶職人は星の数ほどいるが、『 鉄砲鍛冶職人 』 はオヤジさんただ一人だからな」

オヤジ
「ことわる。オレぁ忙しいんだ」

マドロック
「そいつは残念。せっかくとびきりの酒を持ってきたんだが仕方ない、諦めるとしよう」

オヤジ
「待て






　……うまい酒、持ってきたんだろうな？」















オヤジ
「こいつぁヒデェ。フリント（燧石）の魔石がすり減ってほとんど無くなってんじゃねぇか。バレルも魔力煤だらけと来てやがる。一体おめぇどういう使い方してんだ？」

マドロック
「先日、同業者と派手にドンパチやり合ったもんでね」

オヤジ
「ハルバルドんとこか。おめぇのことだ。どうせまたカタギの衆を守るのに余計な力を使っちまったんだろ」

マドロック
「返す言葉も無いな。オレたちのせいでまた無辜の民を巻き添えにしてしまった…」

オヤジ
「ならいっそ、海賊を辞めたらどうだ」

マドロック
「そうはいかない。自由に生きる海賊だからこそ人々を守れることもある。それに、オヤジさんも得意客を失ったら困るだろう？」

オヤジ
「そういうことはな、もっと上等な酒を持ってきてからほざきやがれ！　いつもラム酒ばかり持ってきやがって！」





マドロック
「海賊といえばラム酒だ。そこは大目にみてくれ。

…なあオヤジさん、ひとつ聞いてもいいか？」

オヤジ
「難しい話にゃ答えらんねぇぞ。オレぁ学がねぇからな」

マドロック
「アンタ、どうして鉄砲鍛冶職人を続けてるんだ？」



オヤジ
「……なに？」

マドロック
「アンタとは長い付き合いになるから鉄砲鍛冶という仕事に誇りを持っているのはわかる。だが、銃っていうのは 『 人殺し 』 に使うもんだ。魔物と戦うための他の武器とはワケが違う。そんなものを喜んで作っているとはとても思えなくてな」

オヤジ
「…」

マドロック
「いや、すまん。つまらんことを聞いた。今のは忘れてくれ」

オヤジ
「おめぇと同じさ。鉄砲鍛冶職人だからこそ守れる命もあるってこった」

マドロック
「え…？」

オヤジ
「 『 デュレーク協定 』 って知ってるか？」

マドロック
「デュレーク…　たしか大昔のレイダメテスの災厄の時に、救いを求める難民を自分たちの船に次々に乗せたっていう伝説の海賊の名前じゃなかったか」






オヤジ
「結局デュレークの船は難民の重さに耐えかねて最期には沈んじまったっつうから真偽のほどは定かじゃねぇが、『 海賊ですら人を救おうとした 』ってことに各国の王は驚いたのさ。そして一つの協定を結んだ。『 あらゆる銃と大砲はヒト同士の争いには用いない 』 と」

マドロック
「それがデュレーク協定…　海賊の象徴である銃と大砲を、平和の象徴にしようと思ったわけか」

オヤジ
「その協定のおかげで各国の軍隊はおろか冒険者ですら銃を使う者はいなくなっちまった。まぁ銃より呪文の方がよっぽど実戦向きだしな。だが他人が使わねぇからこそ違法な武器を使いたがる連中も出てくるもんよ」

マドロック
「オレたち海賊か。皮肉なもんだな」

オヤジ
「銃を使いたがる連中もいるってことは、そいつらに売りつけるために　『 銃を作りたがる連中 』 もいるってこった。そういう連中を野放しにしといたら世の中メチャクチャになっちまう…」

マドロック
「…オヤジさん？」


オヤジ
「誰かがやんなきゃなんねぇんだよ…　鉄砲鍛冶職人の元締め　ってヤツをよ」


マドロック
「…まさか、アンタがその元締めだってのか？」





？
「ちぃーとジャマするけぇ」






　マドロックとオヤジの前に現われた人物とは？



 
【　海と陸に咲く仁義の徒花　　　後編　につづく　】