※注意!
【この日誌には海賊の職業クエストに関するネタバレが含まれております】
【この日誌は妄想二次創作日誌です。広い心でお読み下さい】
よろしいですか?
ボロヌス溶岩流に工房を構える鉄砲鍛冶職人を訪ねた海賊マドロック船長は、銃や大砲を人同士の争いに用いないことを定めた 「 デュレーク協定 」 の存在を知る。そこへ現われた人物とは…
オヤジ
「誰かと思ったらツバクロじゃねぇか。ったく、今日はよく客が来る日だぜ」
ツバクロ
「ご無沙汰しとります。親方」
マドロック
「親方…?」
オヤジ
「オレぁ親方じゃねぇ! 何度言ったら分かるんだっ!」
ツバクロ
「ワシにとって 『 オヤジ 』 と呼べるお人は一人だけじゃけぇ。気に入らんかもしれやせんが、親方と呼ばせてもらいますけん」
オヤジ
「…勝手にしなっ!」
ツバクロ
「ほいだら、勝手にさせてもらいます」
マドロック
「あんた、オヤジさんの知り合いなのか?」
ツバクロ
「こいつは挨拶が遅れて申し訳ありゃぁせん。手前、生国と発しまするはエルトナ大陸。名をツバクロ。ケチな渡世人にごぜぇやす。どちら様も以後お見知りおきを」
マドロック
「ああ、ご丁寧にどうも。オレは…」
ツバクロ
「存じておりやす。海賊船フリーダム・トルネード号のマドロック船長でございやしょう」
マドロック
「オレを知ってるのか?」
ツバクロ
「ワシらの世界では有名人ですけぇ。今時めずらしいカタギに手を出さん海賊ちゅうんは」
オヤジ
「で、ツバクロよ。ドワチャッカ大陸のこんな最果てまでわざわざ来たってことはおめぇ、まさか手ぶらってことはねぇよな?」
ツバクロ
「ご冗談を。ちゃんと心得てますけん。おい、例の土産を」
デュバル
「へい、兄貴」
マドロック
「土産ってことは酒か? オヤジさんも本当に好きだな。
…どうしたんだ? 険しい顔をして」
オヤジ
「酒なら良かったんだがな…」
デュバル
「持ってきやした」
マドロック
「な…! この大量の銃はなんだっ!?」
ツバクロ
「密造銃じゃ」
マドロック
「密造…!?」
オヤジ
「それも鉄砲鍛冶のことなんざ何も知らねぇ素人が作った粗悪品だ。こんなもんが出回った日にゃどえれぇことになりやがるぜ」
マドロック
「オヤジさんが言ってた 『 銃を作りたがる連中 』 ってのは…」
オヤジ
「密造団のことさ。やつらを放っておいたらアストルティアは銃で溢れちまう。誰でも簡単に人を殺せる銃でな。誰かがそれを見張っとかにゃならん」
ツバクロ
「ほいで、親方に頼まれたワシら一家が密造団を探ってたっちゅうわけじゃ。ワシらにとっても自分らのシノギがかかっとるけぇ、徹底的に叩きつぶしてやったわ」
マドロック
「ツバクロ、親方の知り合いでしかないあんたがなぜそこまでする? まさか押収した密造銃を何丁かくすねたんじゃ…」
デュバル
「てめぇ! 兄貴に向かって何言いやがるっ!」
ツバクロ
「やめぇっ!!」
デュバル
「へ、へいっ!」
ツバクロ
「マドロック船長、あんたがた海賊にも 『 海の仁義 』 があるじゃろう。ワシら陸(おか)に生きるもんにも通すべき 『 陸の仁義 』 っちゅうもんがあるんじゃ。密造団の連中はその仁義を欠いた。それを黙って見過ごすことはワシらの沽券に関わるけんのう。そういうことじゃ」
マドロック
「すまない… 失礼なことを言った」
ツバクロ
「なあに、気にせんでええ。密造団の連中を潰したついでに、やつらが貯め込んでいた資産はゴッソリ巻き上げさせてもろうたけん」
マドロック
「そ、そうか」
オヤジ
「この密造銃はオレが責任もって処分しよう。ボロヌスの溶岩流に放り込めば跡形もなく溶けちまうだろうさ」
マドロック
「これで一件落着だな」
ツバクロ
「残念ながらそうはいかんじゃろうな」
オヤジ
「ああ、銃を密造しようって連中は後をたたねぇ」
マドロック
「それじゃあ今回みたいなことがずっと続くのか?」
ツバクロ
「ワシらのやっとることはイタチごっこみたいなもんじゃからな。もしかすると実を結ぶことなく散る花のようにムダに終わるかもしれん。じゃが…」
オヤジ
「だからといってやめるわけにはいかねぇのさ。誰かがやらなきゃならねぇからな」
マドロック
「そうだな… オレも諦めるわけにはいかないな。秘宝を集めるのを」
ツバクロ
「ま、今日のところは目的達成という所でとりあえず乾杯といきますかのう」
オヤジ
「お! そいつはもしかしてエルトナ銘酒 『 神春無為 』 じゃねぇかっ!?」
マドロック
「やれやれ… ま、いいか」
【 海と陸に咲く仁義の徒花 完 】