※ 注意!
【 この日誌はバージョン5(魔界)のメインストーリーにおけるネタバレを含んでいます 】
【 この日誌には妄想、憶測、推論が含まれております。 広い心でお読み下さい 】
よろしいですか?
4.【 夫イーヴの無理解 と 大貴族たちとの確執 】
王家に輿入れしたエルガドーラを待っていたのは、周囲からのあからさまな侮りでした。
大貴族を招いた舞踏会では、貴族たちは王であるイーヴには挨拶をするものの王妃たるエルガドーラは無視しました。それどころか城の侍女たちですら自分と弟オジャロスを軽んじる有様にエルガドーラは憤りを覚えました。例え王妃といえども無名貴族の出である彼女に敬意を払う必要を周囲は感じなかったのでしょう。
たまりかねたエルガドーラは夫に相談しましたが、返ってきたのはあまりにもひどい言葉でした。
「 君を王妃に望んだのはベラストル家の令嬢リズベルとの縁談をつぶし、大貴族どもの鼻をあかすためだったのさ。王家の遠縁とはいえ家勢の弱い無名貴族の生まれである君だからこそ、妃にふさわしかったんだ。 」
この言葉はエルガドーラには到底受け入れられないものだったことでしょう。彼女はさらに夫に詰め寄りますが、
「 身分にこだわることはない。 くだらない連中は無視すればいいんだ。 」
と、取り合ってもらえませんでした。
イーヴとしては 「 身分の違いなど大した問題では無い、大切なのは内面だ。他人の評価など気にする必要はない 」 と言いたかったのかもしれませんが、無名貴族であるがゆえに幼い頃から他の貴族たちに軽んじられてきたエルガドーラにとって夫の言葉は理解できなかったのです。
夫が言う 「 くだらぬ連中 」 への面当てのためだけに自分と弟のオジャロスはこの城で屈辱の日々を送らねばならない。夫は生まれながらの王だ。誰かに見下され軽んじられる辛さなど一度たりとも味わったことがないのだろう。
エルガドーラはこの時初めて夫の中にある 『 理解出来ない何か 』 を感じたのでしょう。
それでも夫を愛していたエルガドーラは周囲の風当たりにも耐え、ついに王位継承者である王子アスバルを授かりました。
次期国王の母である自分を軽んじる者はもういない。エルガドーラがそう考えても不思議ではありません。
ところが、アスバル誕生を祝う宴の席で夫であるイーヴはとんでもないことを口にしたのです。
「 我が子に王位を継がせる気は無い 」
祝宴の場が騒然となったのをさすがにまずいと思ったのか、「 宴で飲み過ぎて何を言っているのか自分でも分からないのだ 」 とその場はごまかしたイーヴでしたがエルガドーラは気付いていました。
あれは夫の本心であると…
誇り高きゼクレス魔導国の王位は正統なる血統を継ぐ者だけに許される。
それなのに、夫は王位を息子に継がせないと言ったのだ。
夫の言葉に、エルガドーラは自分の中にある絶対的な価値観が崩れる恐怖を感じ始めていました。
王子誕生の祝宴からしばらくたった頃、大勢の貴族たちを前にした謁見の場でついにイーヴ王は決定的な行動に出ました。
「 ゼクレス魔導国の貴族制度を廃止する 」 と宣言したのです。
これにはゼクレス中の貴族たち、ことに大貴族が猛反発しました。
「 イーヴ王を廃立すべし! 」 という貴族たちの声は日に日に大きくなり、ついには内戦も間近だろうと噂される中、エルガドーラは事態を収めるのに奔走していました。
冷静さを取り戻してもらうためにイーヴをやむを得ず幽閉すると共に、「 イーヴ陛下は平民による国家転覆の陰謀に巻き込まれたにすぎぬ 」 と強く主張して貴族制度廃止が王の本意では無いことを貴族たちに必死に説きました。また王家所有の領地の一部を大貴族たちに与えるなどして、かろうじてゼクレス分裂の危機を防いだのです。
かくして、夫イーヴが王位を追われるという事態を回避したエルガドーラでしたが、彼女の知らないところでもっとおそろしいことが起こっていたのでした。
あろうことか、イーヴが幼いアスバルをさらってアストルティアに逃亡したのです。
5.【 イーヴとの別離 】
6.【 ゼクレス魔導国にエルガドーラ体制を敷く 】
は、次の日誌で書きます。