※ 注意!
【 この日誌はバージョン5(魔界)のメインストーリーにおけるネタバレを含んでいます 】
【 この日誌には妄想、憶測、推論が含まれております。 広い心でお読み下さい 】
よろしいですか?
8.【 それでも息子と国を愛した悲劇の女性 】
幼い頃から無名貴族という誹りを受け劣等感に苛まれ、
王子から求婚されたと喜んでいたらその理由は大貴族どもの鼻をあかすためだったと結婚後に打ち明けられ
王妃となってからも大貴族たちはもちろん城中の侍女にまで軽んじられ
後継者である王子を授かったと思ったら 「 息子に王位は継がせない 」 と夫が言い出し
挙げ句、夫が勝手に 「 貴族制度廃止 」 を宣言して国を二分する内乱の危機を招き
その危機が去った矢先に夫が幼い息子をさらってアストルティアに逃亡し
苦労して見つけ出したら 「 国を捨てて親子三人一緒にアストルティアで暮らそう 」 などと世迷い言を口にし、
夫と訣別してからは必死になってゼクレス魔導国を発展させ、アスバルを立派な王にするべく育て、
これからという時に宝石商を名乗る赤毛の少年に 「 一緒にアストルティアに行こう 」 と息子をたぶらかされ、
もはや、エルガドーラの精神は限界でした。
エルガドーラにとって 「 ゼクレス魔導国 」 「 ゼクレス王家 」 「 貴族制度 」 は絶対的な価値観でした。
だからこそ、その全てを否定した夫イーヴを理解できなかった。
だからこそ、王位継承者であるアスバルをたぶらかし、王家の血筋を途絶えさせようとしたユシュカを許せなかった。
だからこそ、父イーヴ同様にアストルティアに憧れを抱くアスバルを放置するわけにはいかなかった。
おそらく、エルガドーラがアスバルを 「 ゼクレス魔導国のための人形 」 として扱い始めたのはこの頃からなのだと思います。
この仕打ちに対してはさすがのオジャロスも不憫に思ったことでしょう。もしかすると、幼い頃に姉から虐められていた自分の姿を重ねていたのかもしれません。
そして時は流れ現代。
大魔王マデサゴーラが勇者に倒され新たな大魔王選出の儀が行われることになると、エルガドーラの妄執は
「 アスバルが大魔王となってバルディスタとファラザードを滅ぼしゼクレスが魔界を統一する 」
という野望に肥大しました。
アスバルが大魔王に選ばれなかったと知ると魔界大戦を引き起こし、ミアラの宝杖の魔力をもってアスバルを太古の魔人に変貌させ、ユシュカとヴァレリアを抹殺しようとします。
しかし予想外の抵抗を見せるユシュカに対し 「 ユシュカを殺すため、自分の全ての魔力を太古の魔人にゆだねる 」 という無茶を行った結果、魔力が尽きて抜け殻同然になってしまいました。
エルガドーラに積年の恨みを募らせていたオジャロスは、エルガドーラの身体を下等な魔物の姿に再構成します。さらに、相手の意思を支配する宝石を用いてエルガドーラの自我を奪い、水槽に入れて自室に飾るという屈辱的な扱いをするのでした。
意思を支配されたはずのエルガドーラでしたが、ただ一つ覚えていることがありました。幼いアスバルに歌ってあげていた子守歌を繰り返し繰り返し口ずさんでいたのです。
その後、奸計によってアスバルから王位を簒奪しようと企んだオジャロスでしたが、逆に罠に嵌められエルガドーラの精神支配も解かれてしまいます。
進退窮まったオジャロスは最後の悪あがきに、エルガドーラの肉体を強力な爆弾に変えてアスバルに選択を迫りました。
「 このままでは大爆発を起こしゼクレスは吹き飛ぶ。だがエルガドーラを殺せば爆発は防げる。 王として母を殺すか、息子として国を道連れに滅び去るか、お前の望む未来を選ぶがよい。 」
悩みながらも自分を助けようとするアスバルにエルガドーラは言い放ちました。
「 アスバル…この愚か者めが! 高貴なるゼクレス王家の血を引きながら大魔王にもなれずオジャロスごときに遅れを取るとはなんたる役立たず!
…もはや、親でも子でもない。
アスバル! お前など産むのではなかったわ! 」
その憎まれ口を聞いたアスバルは母の真意を悟り、激昂の巨人レイジバルスを召喚してオジャロスとエルガドーラを握らせ地中へと沈めました。
その寸前、エルガドーラの幻影がアスバルを優しく抱きしめそっと囁きました。
「 それでいい…
ゼクレスを頼んだぞ わが息子…
いや 魔王アスバルよ… 」
9.【 終章 : まとめ 】
に続きます。