バージョン5.2の記録です。
今回は、バージョン5.2のクライマックス部分の記録です。
なので、ストーリーがまだまだの人、ネタバレNGの人は、ストーリーが完了してから、読んでくれたら嬉しいデス。
ストーリークリア済の人、ネタバレオッケーの人は、続きへgo~
さて。
ついに、アタシは新しい魔界の大魔王に就任した。
魔界各地の代表が列席する中、自分の城の玉座の間で戴冠式を執り行ったのだ。
…戴冠式当日は。
とても、長い1日だった気がする。
…ねえ、勇者姫。
怖いけれど訊きたい。
あなたの目には、今のアタシはどんな姿に映るのだろうか。
修行の為の異空間に居てさえ、アストルティアに現れた魔王アスバルの気配を察したあなたには、アタシは今でもあなたの盟友に見えるんだろうか。
アタシは今でもあなたの盟友のままのつもり。
いや、むしろあなたの盟友たるアタシにしか、今の魔界を支えることはできない筈。
アタシはそう確信したから、だからこそ大魔王になった。
気づけばアタシは魔界の為に、反目し合う魔界の各地の間を取り持ち、争乱を静めてその傷を癒し、刻々迫る大魔瘴期の脅威への備えを始めていたことになる。…最初は成り行きというか、特にそんなつもりじゃなかったけど。
でも。
やっぱりこれもアタシの運命の一部だったんだなと。今となっては、はっきり思う。
…
戴冠式の当日のこと。
アタシの就任を宣言した直後。
魔仙卿は、唐突に、魔界の歴史を語り始めた。
魔界の起源について。
…遥か神話の時代、魔界は、アストルティアの一部であったという。
闇の根源と称される存在により、汚されてしまったアストルティアの一部を、創世神ルティアナが切り離した、その、切り捨てられてしまった大地こそが魔界だったのだ。
魔界の民は、切り離され捨てられた大地に取り残された民が、魔界となった世界に適応し生き延びた者達の末裔なのだという。
…
道理で。
アストルティア6種族に似た魔族が居たわけだ。
それに、竜族似の魔族が見当たらない理由も解った。何故なら、そもそもアストルティアとナドラガンドは最初から別々に存在する世界だったんだもの。
そして。
何度も何度も、その都度失敗していると言うのに、どうして魔界はアストルティアに攻撃を仕掛けて来るのかという、アタシの疑問もこの時解った。
神話の時代の記憶は消えても、創世神から見棄てられた絶望や恨みは、魔界の民の魂に刻まれている。
時々に大魔王という存在を介して、そうした恨みがアストルティアに向けられて来たのだ。
…
魔仙卿は、こうした魔界の歴史を告げた上で、恨みの連鎖を止めて見せろとアタシに言った。
この先、何が起きようとも、魔界を導いて行ってくれとも。
…
戴冠式の前に、二人だけで話していたから。
更にその後、少々手荒に過ぎる祝福を残して行ったとしても、アタシは魔仙卿の真意が魔界の安寧であることを疑いはしない。
…列席した魔王達は、悪態ブーブーだったけど、それも無理もなかったね。
よりによってこんな時こんな場に、魔瘴魂なぞを召喚して自分は行方をくらますなんてね。
でも、解ってるよ。
これも魔仙卿からのはなむけだってことは。
魔王達は協力して魔瘴魂から列席者を守り、式典前には反目が目立った各地出身の兵士達は、気づけば互いに労り合うようにもなり始めていた。
地固めに必要な嵐を、魔仙卿は置いて行ったのだ。
…
ねえ、勇者姫。
本当は、あなたに先に相談してからにしたかったんだよ。
こともあろうに勇者の盟友が、大魔王になるなんて、何はともあれビックリさせてしまうよね。
でも、あなたには是非とも解って欲しい。
魔界の民は、決して敵ではないってことを。
むしろ魔界の民は、アストルティアの民にとっては遠い昔に生き別れた兄弟姉妹達であり、今こそ互いの手を取り合わなければならないことを。
…アタシのこの両手は、アストルティアと魔界を繋ぐ為に。
その為にも。
勇者姫。
どうか。
きっともうすぐ逢えると思うから。
アタシを信じて。
アタシの話を聞いて…。