モどんだ。ここ最近、留守番が多い。
何故かと言うと、アイツが1人で何処かへ出かけて行ってしまうからだ。
最初のうちは気にも止めていなかったのだが、毎回例のあんこ玉になって帰って来るので流石に気になり、毎度何処へ行っているのか問うとあんこ玉は「ボーエー」だという。
顔を覗くと鼻にちり紙が詰めてある。ハデに顔面を打って鼻血を出した様だ。その鼻血を拭ったせいかシャツの袖と胸がカピカピになっている。メイドのハザクラも洗濯が大変だろう、彼女はよく出来たメイドだ、昼寝ばかりしているが。
それとプクリポに鼻があったのに驚いた。
アイツはその後ベッド代わりの棺桶に入って2秒で寝てしまった。暫くして「半鐘はダミダヨー!おジャンになるから!」などと寝言でうなされていたのを覚えている。
…ボーエー…おそらく防衛の事だろうか?何処かの村でも守っているのかもしれない。だが、そうなると何故アイツ1人で行くのだろうか。
何にせよアイツにも考えがあっての行動だろうからとやかく言うつもりは無い。「ボーエー」もいいだろう。ただ、あのデコッパチの姫様と超絶若作りの婆さまを放置しているのは気になるが…
ある朝、目が覚めるとアイツはいつも通り弁当の爆弾岩の様なおにぎりをせっせと握っていた。朝はメイドのハザクラが起きないので自分で作っている。オレに気づいたのかベタベタの手で棺桶の方を指さす。
棺桶の横に目をやると、箱が置いてある。開けると中にはかなり立派な爪が一対入っていた。
「へへ…それあげる。」アイツは無い鼻を擦りながら恥ずかしそうに言った。オレがこの爪はどうしたのかと質問しようとすると「あとはデコッパチ姫のを貰ってくるから、じゃあね!」
アイツは弁当とくたびれた棍を担いで家を出ていってしまった。…まずちゃんと手を洗え…
その後、ようやく起きてきたハザクラに爪を見せるとゴッドクローというかなりの代物だと。
アイツはこの爪を手に入れる為に毎日防衛軍(というらしい)に参加していた様だ。毎回ボロボロの満身創痍になりながらも…オレはそれよりもまず自分の武器を何とかしろと思うのだが…馬鹿なヤツだ。
今日も変わらず留守番をしている。しかし近い将来、アイツが「ボーエー」でデコッパチ姫の武器も手に入れて再び冒険の旅に出発する事になるのだろう。
その時はこの爪でアイツがあんこ玉になるのを少しは防いでやるのも悪くない。
今回は長くなってしまった。また書く。