夜明け前の野辺に。ひとりの男児が。
日は伸びてきたとはいえ、まだまだその衣では寒いだろうに。
枯れ木の前に立ち止まり、様子を見ていたかと思うと、やおら男児は踊り始める。
「えっさほいさっさ♫」
誰に見せるでもなく、衣をふりつつ。
と、一瞬にしてあたりが光に包まれ。
男児は何かを唱え始めた。
「枯れ木に花を」
「咲かせましょう〜(=´∀`)人(´∀`=)」
言うが早いか、枯れ木はいずこ、そこには春がやって来ていたのだった。
そういえばそうだ、もう春だったかもしれない。自分が気づいていなかっただけかもしれないな。なんて、私は心に余裕がなかったんだろう。
「ああ、くそ忙しい!」
「今日はあと300本残ってるつーのに」
満開の桜を蹴るように男児は走り去っていった。
花の精も人手不足なんだなって、何処の世界もあんま変わんないのかもしれないって、すこし笑った。
もう春ですね。相変わらず目は痒いけど泣。
40選に残ったよ。みなさんありがとう。♪(´ε` )