アスコン応募作のお話フル版。
★★★★★★★
なにこれ?
誰?
ああ、なんか偶々見つけてさあ。
誰だかよくわかんないんだけどずっと配信してて、視聴者数がエグいんだよ。
何歌ってるのかさっぱりよくわかんないのに。
3DCG?
実写?
2D?
謎。
「n・io・dochill・null-wo♫」
この顔のないアバター達も何なんだろ。
ね、中身がまだ何もないデータみたいじゃない?
みんな初期スキンて感じ。
どこの誰なんだか。また増えた。
この配信、いつからやってるの?
えーと。
え、うそ、1、10、100。
ざっと500年前の日付になってるけど・・・。
==ここからアスコンの応募部分===
モニターの中をただ流れてゆくデータ。
リスナーたちはのっぺらぼう。
配信者はもういない。
アバターだけがアプリの中を生き続けた。
ノイズが生まれ、かつ消え、かろうじて拍を刻んだ。
光と音の雅な残骸だけが、もう何世紀も澱み続けていた。
いつかこれが、意思を持った何かに変わる日を夢見て。
==ここまでアスコンの応募部分===
「wagayotaresotsunenaran♫」
と聞こえた気がした。
それはもはや、サイの角のようにひとり歩む、意思を持った何かだった。
★★★★★★★
と、お話は以上です。
配信プログラムが長い間ひとりでに流れ続けて何か独立した存在のようになってゆくストーリーの着想で写真を作ってみました。
当初は、とくに意味のない色と線と形を雑然と並べて、鋭さと華やかさを併せ持ったイメージで作ろうかな~と思っていましたが、ぱっと見ごちゃごちゃに混乱したように見える世界でも、視点によってはそこに何かしらの意味を見出してしまう心の動きって面白いよな~と思い、上記のようなストーリーにしてみたのです。
方丈記の冒頭とか、平家物語の諸行無常のイメージとかも混じっていて、時間が経過しているはずなのに何故か過去のある出来事を回想しているような感じも面白く、ひとりでに動いてゆくプログラムが世の中の有象無象を取り入れながらまるで人間のある一部分のように表出し始める、というお話は、昔は本の中のSFのストーリーでしたが、最近はもしかしたらそんな未来もあるかも、とそれなりに思っちゃうくらい身近なイメージになっているように感じます。
ダン・ブラウンの「オリジン」という小説にも結構影響された気がします。
音楽からはいつも影響されていて、こんなような曲からイメージをもらったと思います。
・近未来感
Perfumeの「エレクトロワールド」。
やくしまるえつこの「わたしは人類」。
ファミコン、が〇ば〇ゴ〇モン2の1面とか江戸とか。
・激しさ
Cinemechanicaの「Brain Tarp」。
Chonの「Bubble Dream」。
・強さ
THA BLUE HERBの「THE BEST IS YET TO COME」「サイの角のようにただ独り歩め」。
・怖さ
Jeff Millsの「the bells」。
・やわらかさ
American Footballの「My Instincts Are the Enemy」。
Modest Mouseの「Gravity Rides Everything」。
・かっこよさ
80KIDS/AAAMYYYの「Magic」。
以上ここまで読んでくれてありがとう。
またね。