『虹色の食卓と、おさかなさんの魔法』
2026年1月26日。窓の外はしんと冷え込んでいるけれど、私の部屋の中だけは、達成感でポカポカと温かかった。
「……やっと、会えたね」
画面の中で、私の分身であるエル子の「おさかなさん」が、真新しい家具に囲まれて佇んでいる。
アルファポリスやカクヨムという、慣れ親しんだ物語の居場所を失ってから、私はこのアストルティアの世界に潜り込むように生きてきた。ADHDや識字障害という特性のせいで、目まぐるしく変わるチャットや資料の文字に溺れそうになりながらも、ハウジングだけは、私を裏切らない静かな聖域だった。
今回、私が喉から手が出るほど欲しかったのは「ポルテのグルめぐり机」だ。
各地の美味しいものを巡る旅。一歩進むごとに、タイムマスターメダルやとこしえの虹が手に入り、私のカバンを重く、彩り豊かにしていく。
「13か所目……しぐさ、いただきます2」
指先が震える。習得したそのしぐさを、おさかなさんにさせてみる。
「いただきます!」
小さく合わせた手のひら。その仕草ひとつで、画面の向こうから香ばしいスープの湯気や、甘いデザートの匂いが立ち上ってくるような気がした。
そして、ついに21か所。
『称号【グルめぐリスト】を獲得しました!』
その文字が目に飛び込んできたとき、私は思わず「あはっ」と声を漏らした。
複雑なマルチタスクができなくても、文字が躍ってしまっても、私は自分の足で、この21か所の景色を歩き抜いたのだ。
「家具、並べてみよう。机A、B、C……それから……」
庭に並べた机の上には、色とりどりの御馳走が並ぶ。
ジューシーな肉の照り、ふっくらとしたオムレツ、宝石のようなフルーツ。
これまでの孤独なレベル上げや、ルームでの不安な気持ちを、全部この豪華な食卓が包み込んでくれるようだった。
「ハウジングばかりしてるから、どうしてもこれが欲しかったんだ。ありがとうございます」
誰にも邪魔されない、おさかなさんだけの特別な祝宴。
新しく手に入れた印章を見つめながら、私は自分に言い聞かせる。
「け・せら・せら。なるようになる、よね」
文字を読むのが苦手な私でも、この食卓の彩りは、どんな物語よりも鮮やかに心へ染み渡っていく。
おさかなさんは今、世界で一番幸せな食卓の主役になって、優しく微笑んでいた。

おいしそう♡

贖罪にも感謝して♡

いただきまーす♡