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サーカス団のスター

まめた

[まめた]

キャラID
: TX725-626
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 賢者
レベル
: 120

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まめたの冒険日誌

2015-02-13 00:03:48.0 2015-02-13 00:38:32.0テーマ:イベント

ガラクタ生まれの、宝石箱

※この日誌は、フィクションです。
 ゲーム内のキャラを使っていますが、発言、設定などは私個人の空想です。

 この作品は、全国のドワーフファンに送ります。



悲しみに包まれて、私はこの場所に戻ってきた。私の、実家に。
自分から家を出ていったくせに、虫のいい話だと思う。
けど、今の気持ちを収めようと、真っ先に浮かんだのはこの場所だった。
相談する相手として、浮かんできた顔はあの顔だった。

考えことをしている間に、大地の箱舟はガタラに到着した。
私は、自分の育った場所、ガラクタ城と呼ばれる建物の前にいる。

「ただいま」

「おや、おかえりなさい。チリじゃないですか、どうしたんです?」

建物の中には、私を育てた父親、ダストンがいた。
何よりもガラクタを愛する、風変わりな男。けど、私の唯一の家族。

「なんでも。娘が家に帰ってきて、悪いの?」

「そんなことはないですがね。帰ってくるなら、先に手紙くらいよこしなさいよ」

私は、返事もそこそこに、近くの椅子(のようなガラクタ)に腰かけた。
久しぶりに帰って来たというのに、全く不愛想で可愛くない娘だ。
自分でもそう思う。本当に、私はなんでこんなに落ち込んでいるのだろう。
自分が選ばれるとばかり思っていたから、それがいけないんだろうか。

「疲れた表情していますね。具合悪いんですか?」

不愛想な娘に、父親は珍しく優しい言葉をかけてくれる。

「お腹すいてませんか? スープ、温め直したのありますよ」

「お父さん」

「なんです?」

「何でいきなり帰って来たか、聞かないの?」

「別に、話したくないならいいですよ」

「何で、今日はそんなに珍しく優しいの?」

「は? お前は何を言ってるんですか。当たり前のことですよ」

「当たり前?」

「何言ってるんですか、私はガラクタには優しいんですよ」

「ガ、ガラクタ・・・・・」

私の中の血液が一気に逆流して、頭に上った。

「誰が、ガラクタだっていうのよ!」

私は、声の限りに叫んだ。

「お父さんでも、言っていいことと悪いことがあるわよ!ガラクタなんて!!
 コンテストの候補者に選ばれなかった私を、ガラクタ呼ばわりなんて!!」

すると、父はきょとんとした表情で。

「なんのことです、コンテストって」

「だから、クイーンコンテストのことだって・・・ほんとに、知らないの?」

「私がそんなコンテストなんてものに、興味あるわけないでしょ」

べつに、コンテスト候補に落選した私を、ガラクタ呼ばわりしたわけではないらしい。
それなら、なんで私のことをガラクタ呼ばわりしたのか。

「ほんとに・・・・、ガラクタみたいな輝きの目をしていますねぇ」

・・・・目?

「あなたが、捨てられていて泣いていた時の目にそっくりです。
 寂しそうで悲しそうで、光のこもってない、ガラクタのような輝きです」

捨てられていたころの、あの頃の私。

「必要とされず、捨てられていたあなた。
 私の愛するガラクタたちのようで、拾って育てることにしました。
 今のあなたの目は、まるであの時のようですよ」

確かに、あの時の私は、泣くしか能がなかった。
けど・・・・、けど、今は違う。

「何、言ってるのよ」

私は父を真正面から見据えて、言い放った。

「あの頃の私なんかと、一緒にしないでよ
 今の私は、ドルワーム王宮で、王立研究員として立派に働いているの。
 確かにちょっとショックなことがあったけど、泣くしか能がない頃と、
 赤ん坊の頃と一緒にしないでよね!」

そうだ、そして絶対に返り咲いてみせる。あの、ステージに。

毅然と立ち上がった私の顔を見て、父は口を開いた

「・・・・・いやな目ですねぇ」

「何よ、褒めたりけなしたりして」

「さっきまでガラクタみたいだったのに、キラキラと宝石のように輝いて。
 この家には、ガラクタ以外の置き場所はないですよ。そんな宝石みたいな
 目をしているなら、元の居場所に戻ってください」

「言われなくても、帰るわよ」

そうだ、私のいる場所はここじゃない。踵を返すと、私はドアへ向かった。

「・・・・・あのさ、お父さん」

「何です?」

「ありがとう」

私は振り向くことはせず、足早に実家を後にした。




「まったく・・・、私の大嫌いな宝石みたいな目をしやがりまして」

ひとり残ったダストンは、誰に話しかけるともなく呟いた。

「親の心子知らずというか、本当に親不孝な娘ですよ」

その口調は、寂しいというよりも、どこか誇らしげで嬉しそうだった。

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