あるところに、1人の天使がいました。
天使はいつも、困っています。
神様に
「誰かのためになることをしなさい」
と言われたのですが、
何をしてよいのか、わからなかったからです。
あくる夜、天使は一人の妖精と出会いました。
「君は何をしているの?」
「私は神様に、人々を幸せにしてきなさいと言われたのだけど、
何をしていいか、わからなくて困っているのよ」
「僕と同じだね。
僕も、誰かのためになることをしなさい、と言われたけれど
何をしていいのかわからないんだ。
僕は、雪を降らせることしかできないから。」
「それじゃあ、雪を降らせてみてよ。
私は、今まで雪が降る景色を見たことがないの。」
「そんなことでいいの?
…それじゃあ、いくよ、それっ!」
天使は持っていたタクトを振ると、
あっという間に辺り一面に雪を降らせました。
「すごいすごい!雪が降るのはこんなにきれいなんだね!」
妖精は大喜びして言いました。
「でも、僕にはこれしかできないんだ。
これで誰かのためにできることなんて、思いつかないよ。。。」
「何を言っているの?」
妖精は言いました。
「あなたが雪を降らせてくれたことで、
私は、初めて雪が降る景色を見ることができたわ。
それは私にとって、とても嬉しいことだったのよ。
あなたは私のためになることをしてくれたわ。」
「……」
「あなたはとてもすごい人よ。もっと自信を持って。」
「でも…。」
「わかった、次は私が頑張る番。
あなたが見せてくれたこの景色を、
これから町の人達に届けに行ってくるわ。
この景色を届けることができたら、
きっと、私もみんなを幸せにすることができると思う。
そうしたらきっと、あなたも自信を持って
人の役に立ったと思えるんじゃない?」
「えっ、本当に?」
「本当よ。だから約束しましょう。
次に会うときは、もっと自信を持って
いっぱい色んなことに挑戦してね。
あなたには、あなたしかできないことがある。
一人で自分の価値を決めてしまって、
何もしないのはとてももったいないわ。」
「うん、わかった!
ありがとう。…僕、頑張るよ!」
天使の言葉に、妖精は笑顔でうなづきました。
「それじゃ、行ってくるね!
あなたがくれた、この景色をみんなに届けに!」
そう言うと妖精は、高く高く飛んでいきました。
天使は温かい気持ちを心に秘めながら、
妖精が見えなくなるまで、手を振り続けるのでした。
妖精はきっと今頃、クリスマスを迎える町に向かって
人々を幸せにするために、世界中を飛び回っていることでしょう。
天使がした小さなことを、大きな幸せに変えるために。
もしかすると、あなたのいる町にも訪れるかもしれません。
あなたのもとに、妖精が幸せを届けることを祈って。
Merry X'mas♪
たまには、童話的な物語をお届けしてみました(*´ω`)