アストルティアの花と風景を紹介する記事を書いています。
今回は、レンダーシア(内海)編として、ドラクロン山地についての記事を書いていきます。
ソーラリア峡谷と古き神の遺跡があったエリアが魔王軍の手に落ち、出現した出城を攻めあぐねている私達のもとへ、謎の旅人クロウズがまたもや飄然と現れます。
クロウズは奇妙な笛を私達に託し、多くを語らず姿を消します。
賢者ルシェンダによれば、この笛は飛竜を操ることができるとのこと。
もし本当に飛竜を手懐け、意のままに空を往くことができれば、魔王軍の出城を包む強固な結界を打ち破る手立てを得られる筈だというのです。
結界を破る力を持つ、盟友の他に、勇者とともにあるべき存在、それはペガサスという翼を持つ馬の姿をした神獣です。
ペガサスが居るとされる場所は、なんと私の故郷。エテーネ島だと言います。
しかしながら、現在の真のエテーネ島周辺の海はひどく荒れており、船で向かうことができません。
そのため、何としても飛竜の力を借りて、空からの進入を試みる必要があったのでした。
飛竜の住み処となっているのは、ドラクロン山地と呼ばれる険しい峰です。
鋭く切り立った岩山が連なっており、所々にまるで竜の体のような形をした岩棚があったりします。
竜のあぎとにも似た写真の岩棚等には、飛竜か、それに近いドラゴン系の魔物達のものらしき卵の殻が残されていて、永らく営巣地として使われてきた様子がうかがえます。
麓で出会った竜守りの老人の助言を受け、頂上にあると言う飛龍の峰を目指します。
登攀を続けていると、様々なドラゴン系の魔物達、そして、竜達の生きた証とも言うべきものとも遭遇します。
小振りな竜の骨は随処に、中には生前の巨体が動く様を思うと慄然とするような巨大な竜の頭骨もありました。
また、竜守りの老人によれば、竜達の熱い炎の息吹きは竜炎石という石になって残るということでした。
ドラクロン山地は一見して冷涼そうな気候の土地に見えますが、ウェナ諸島でも見られるモンステラに似た植物が中腹以上でも見られたりするのは、竜達の息吹きの熱が残るため、標高の割には意外と暖かいからかもしれません。
そんなドラクロン山地を彩る花は、平地に咲く桃色の草の花と、登攀を助けてくれるツル植物の花のみでした。ツル植物に咲く花には2つの形があり、1つは平地の草の花と似た小さい花、もう1つは大きくて花弁が尖った紫色の花です。
種類は少ないながら、草や苔類の鮮やかな緑色と相まって、飛龍の住み処に十分な彩りを添えています。
そして、長い登攀の果てにたどり着いた飛龍の峰で、私が竜笛を吹いてみると…
現れたのは、飛龍の王。
しかし、笛を奏でた者が竜族ではないと知ってひどく腹を立てられてしまいます。
事情を聞いて貰う前に、そこそこ難儀な目に遭いますが、何とかこちらを認めてもらい、飛竜の卵を譲られます。
先述の竜炎石の力を使って孵化させた飛竜は、直ぐに飛ぶ力を付けて、私を乗せてくれるようになったのでした。
…飛竜の王の言葉は、私の心に妙な具合に引っかかっていました。
竜族、それは、アストルティア6種族の一員ながら、今ではアストルティアにはいないとされる種族。
竜笛は、おそらくは本来、竜族と飛竜達の誼の証だった筈。
それを託して来たクロウズは、それでは…。
そしてまた、飛竜の王の不機嫌の理由を思う私がいました。
竜族は、飛龍達にとっては仕えるべき相手であり、尊崇の対象であったようです。
しかし、どういう事情か、現在のアストルティアに竜族の姿はなく、飛龍の王をはじめとする飛龍達は寂しい思いをしていたのではないかと思うのです。
おそらく、私の笛の音を、絶えて久しい竜族の便りと思い、勇んで駆けつけて来たのでしょう。
会いたい相手とは違うと知って、がっかりしたのも無理はありません。
飛竜達を残して竜族は何処へ?
…という疑問の答を得るのは、もう少し先のことになります。
まずは、得られた飛竜の力を借りて、真の世界の私の故郷、エテーネ島へ向かうことになります。
次回は、ナルビアの町とその周辺地域についての記事を書く予定です。